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教師から見た、子どもに影響を与える困った保護者とは、どのような保護者か

 問題行動のある子どもの背後には、問題のある保護者がいることが少なくありません。
 たとえば、子どもの前で「教師なんてバカばっかり」と言っている親がいると、どうしても子どもも教師に反感を持つようになります。
 しかし一方で、どうみても子育てに何の問題もないのに、次々と問題を起こす家庭がある。
 あるいは、親に大きな問題があるにもかかわらず、すくすく育っている子どもがいる。
 こんなケースをみると「子育ては結局、運しだい。なるようにしか、なりませんよ」と言いたくなるのが実感なのです。
 けれども、親の問題が子どもに影響を与えてしまうのも事実です。私が考える子どもに影響を与える「問題の親」は、次の3タイプがあります。
1 支配型の親「優等生型の母親」
 子どものころからずっと優等生でやってきたから、子育ても優等生であらねばと、子どものしつけに対して、プレッシャーを感じています。
 実の母親にちゃんと子育てをしていると認めてもらいたいと、これみよがしに子どもを叱り飛ばしてしまうのです。
「いい親であらねば」という強い親は、子どもを見守ることができずに、余計な口出しをして過剰に支配的になってしまいやすいのです。
 その結果、子どもは萎縮してしまいます。子どもは親の気に入る「良い子」になろうと思うようになる。「親の言いつけを守る」という気持ちがすごく強くなるのです。
 その結果「いい子」でなければという重圧に耐えかねた子どもは、心が破裂するようにして問題行動を起こしてしまうのです。
 とくに思春期の子どもは、こうした親からのプレッシャーに敏感に反応します。
 いい子であると「自分」が育ちません。自分がないと苦しくて仕方がない。
 思春期の反抗は、子どもの自立に必要な「自分づくり」という意味があるのです。
 子どもの反抗を認めない、支配的な親の姿勢は、思春期の子どもにとっては辛いものとなります。
 子どもを「いい子」のプレッシャーから解放するには、まず親自身が「いい親」から降りる必要があります。
 夫婦で1日一回は、子どもの前でぐちを聞き合うなどして「弱音を吐ける家庭」を築く必要があるでしょう。
2 親が子どもの家来型
 家庭では、子どもの家来のような親です。
 このような家庭の子どもは、わがままで大人をなめきった態度をとりがちです。
 このような子どもたちは「私がわがままを言えば、大人は結局、言うことを聞いてくれる」と思い込んでいます。
 親はきちんと向き合って説得するのは大変なので、子どものわがままを通してしまいます。
 学校のクラスでは40人のうちの一人に過ぎないから、物足りなく「もっと私を見て」と教師に絶えずかまってもらいたがる子どもになってしまうのです。 
 教師を振り回して、学級崩壊のきっかけとなりやすい。
3 放任型の親
 親が子どもを放ったらかしです。
 このタイプの親の子どもには非行型の子どもが多い。親の愛情に飢えているのです。
 家に親がほとんどいなかったり、全然かまってくれないので、さみしい。そのさみしさを埋めるために道を踏み外してしまう。
 この3つのタイプの親に育てられた子どもに共通しているのは、親が子どもとしっかり向き合い、子どもと対話するのを避けている。
 面倒くささからか、そこから逃げているということです。
 子どもは勝手なことを言ってくるので、きちんと向き合うのは大変なエネルギーを必要とします。
 子育てで一番大切なのは「手間ひまをかける」ことかもしれません。
 親と子どもの関係を改善する方法の一つに、親が子どもの話を聞いたり、自分の気持ちを語ることを練習する方法があります。
 親が子どもに「あなたは」「おまえは」と二人称を主語として、子どもを注意すると、「愛されていないんだ、側にいるのがイヤなんだ」と、否定的な響きをともないます。
 大切なのは、一人称「わたしメッセージ」で語ること。たとえば、
「お母さんはね、いま食事の支度で大変だから、そっとしておいて」と正直に伝えると、子どものほうも「お母さんはいま大変だから、邪魔したらいけない」と思うことができます。
 学校の授業で議論した話題を、家族で話し合ってみるのも親子の心の対話をうながす一つの方法です。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授,臨床心理学、カウンセリング心理学、現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)

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