子どもが夢中になる授業の条件とは何か
たとえば、理科は学ぶ喜びに満ちた教科なのだ。
理科の面白さは、自然を対象にして問題を見いだし、仲間と協力して解決を図ることで、自分の世界が広がったり、仲間とのつながりが一層増したり、自分自身の成長が感じられたりすることにある。
子どもが夢中になって、取り組める授業の条件として考えることは、
(1)教師がねらいをはっきりもっていること
子どもにこのような能力・資質を引き出したいという具体的なイメージをもつことが大切である。
(2)教材に工夫があること
奇をてらうという意味ではなく、子どもの思考が発展するかどうか、ということである。
少し視点を変えることで、子どもには新鮮に映る場合がある。
(3)子どもの考える筋道を大切にすること
教師が指導計画を立てても必ずしもその通りにはいかないことがある。
そのとき、教師が子どもに学ぶことができる。子どもに学び、ズレを生かすことで、授業は動的に生き生きとなっていく。
(4)子どもを理解すること
一人ひとりの子どもが授業で生かされるようにしたい。
子どものこれまでの経験を知っておくということのほかに「その子」はどのような子どもなのか、できるかぎり一人ひとりに即した理解を大切にしたい。
理科4年「もののあたたまりかた」の単元を「変化」という基本から見るとどうなるかを考えてみる。
金属は熱源から順に温まっていく。変化が起きるためには必ず起こしたものがあるという、因果関係を子どもは学ぶ。
この経験をもとにすれば水の温まり方の見通しをもつことができ、実験の方法も自分たちで工夫して作ることができる。
子どもたちは、温かい水と冷たい水の接する部分に仕切りを入れて、その仕切りを取るとどうなるか、という実験を考えた。
金属と違って水の場合、冷たい水が温かいお湯の下にもぐり込み、上と下に分かれてしまう。
その現象を見たとき、子どもたちは風呂の経験を思い出し、水の面白さや不思議さを感じていた。
水は温まると軽くなるという、性質の変化を発見する。温まるという変化は、性質の変化を生むというように、水への見方が一気に広がるのである。
ここで培われる「能力」は「ものが変化するときには、必ず変化させているものかあり、変化すると性質が変わる場合がある」という自然事象への見方の発展である。
深層海流は2000年をかけて地球の海の底を流れているという。水とお湯に分かれた目の前の現象も、地球規模で起きているのである。私たち人間もたえず変化し発展しているのである。
理科を学ぶということは、単に自然の事象の理解にとどまるものではない。そこに、子どもは人間としての生き方が投影される教科なのである。自然が教師であるという表現は、けっして比喩ではない。
(筑波大学附属小学校・理科教育研究部)
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