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職員室から見えてくる新規採用教師のようすとは、職場に溶け込んでいる教師はどのような教師か

 職員室で新規採用教師のようすを観察すると次のようなことが見えてきます。
 新規採用教師の休職者が増加傾向にあります。学生だった若者が4月になったとたん「先生、先生」と呼ばれるようになり、右も左もわからぬうちに息つく暇もない毎日が過ぎていきます。
 パニック状態に陥って職場不適応になり病休や休職に入る教師がいます。学校現場に踏みとどまれるかどうかの分かれ目は「子どもが好きかどうか」という点にあると断言できます。
 現在は以前ほど採用試験が狭き門でなくなってきたので、社会人としてどうかなと首をかしげたくなる教師がめだってきたのも事実です。
 例えば、部活動の朝練習で子どもに早く登校させているのに自分は平気で遅れてくる。退勤の際に黙って勝手に帰ってしまう。当日の朝になっていきなりメールで連絡してくるといったことがあります。
 職員室にお邪魔していると、同僚教師から評判のよろしくない新採教師の話を耳にします。
 「どういう点ですか」と尋ねると「まわりの教師のアドバイスを受け入れないのです。頑固者というか」と答えてくれました。
 「先生の言うことはわかるのですが、私はこのやり方でやってきましたから」と、先輩の助言を受け流すのだそうです。
 学校現場ではプロ教師を必要としています。教科指導、生徒指導など全人格的な関わりを期待されています。
 可愛くないとレッテルをはられた若手教師ほど「聴きづらくなる」状況に自らを追い込んでいるようです。
 そうなると、自分の力だけで課題を乗り越えようとして、孤立感を強めていくのです。
 一方、職場に溶け込んでいる若手教師を観察すると、分からないことがあると、その都度まわりの教師に「教えていただきたいのですが」といってじょうずに相手に甘えています。
 よく見ると、ある特定の教師を一人決めて、その教師からアドバイスや支援を求めている方がうまくいっているようです。
 つまり、「自分のモデルとなるような先輩教師が身近にいる」というのが、課題をうまく乗り切っている若手教師の共通点かもしれません。
(
土井一博:公立中学校教師を経て退職後、筑波大学大学院で健康教育学を学び、茨城県等でスクールカウンセラー歴任し、埼玉県川口市学校教職員メンタルヘルスチーフカウンセラー。日本教職員メンタルヘルスカウンセラー協会理事長。専門は教職員のメンタルヘルス、学校健康心理学、教師教育)




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