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手に負えない子への関わり方や、回復するにはどうすればよいのでしょうか

「暴れるわが子にどう向き合えばいいのか、わかりません」
「生徒がすぐにキレて、教師の言うことを聞かずに困っています」
 こうした子どもたちを観察してみると、他人との交渉やコミュニケーションの取り方に困難が認められます。
 相手の立場になって物事を考えたり、想像したりすることが苦手です。
 その他にも、日常の動作がうまくこなせない発達障害や学習障害、他人の表情が識別できないなど、抱かえる困難は多岐にわたります。
 また、虐待などのストレスがかかり、精神症状を見せるコミュニケーションやネグレクトのような愛着の問題を抱かえ、感情爆発など自己統御が困難で対人不信の子どもも少なくありません。
 適切な支援を得られずに育った子どもたちの自尊感情は著しく低く、たやすく修正できるものではありません。
 私が運営する土井ホームには、このような心に深い傷を抱かえた子どもたちが来ます。
 土井ホームは、共同生活を通してその傷を癒し、回復を図り、自立をめざしている里親ホームです。開設から40年経ちます。
 家庭で「もう育てられない」と見放されたり、各施設で「養育困難」「更生の見込みなし」と判断され困難な状態でやってきます。
 そうした子どもたちに寄り添い支えていく上で、私たちがまず何より大切にしているのは日々の生活です。
 子どもを観察し、何が困難であるかその特性を理解します。
 次に、3度の食事や安心して眠れる部屋など生活環境を整えます。そして音や匂いなどの刺激を減らす配慮をし、見通しの良いスケジュールを立て、
「困った時は必ず相談してね」
「がんばっていることを知っているよ」
など一貫した応答を重ねるようにします。これらを心がけるだけでも、子どもたちは際立って落ち着き始めます。
 子どもたちは深刻な発達上の課題を抱かえていますから、ゴールまでの道のりは遠く、容易ではありません。
 激しい虐待を受けて育った子どもは「闘争」か「逃走」の反応を見せることが多い。
 闘いをしかけてきた場合は、あらかじめ対峙する時間を決めておき、話し合いが煮詰まったら、いったん距離を置いて、互いに冷静になる時間を設けてみてください。
 子ども自身も混乱していた感情を整理し、怒りをぶつけたいという衝動を抑えるきっかけになります。
 私は、日々の暮らしの中で、トレーニングを行います。
 例えば、子どもに家事の手伝いをさせることによって、
「ありがとう」「助かったよ」「じょうずになったね」
という魔法の言葉を繰り返し話しかける。すると子どもの自尊感情は高まります。
 ことばのコミュニケーションを大切にし「がんばり」をほめます。
 また、食後に何気ない会話の時間を持つようにします。興味のある「へび」の話しかしなかった子どもが違う話をするようになります。
 土井ホームに来る子どもに共通していることは、守られた、つながった、共感してもらったという経験が少ない。
 発達・成長の上で欠かせない経験が圧倒的に乏しいのです。
 必要なことは、言葉によるだきしめ、豊かな愛情のシャワーとジョークを交えた日常会話です。笑いは心をほぐす良薬です。
 こうしたなごやかな時間の積み重ねによって、行動は目に見えて変化し、学業面でも喜ばしい成長を遂げます。
 子どもたちと並行して、親とのつながりを育みます。親自身もさまざまな困難を抱かえています。子ども支援は、親支援でもあるのです。
 子ども実家を定期的に訪ね、親が心に抱かえた重荷をおろせるように手助けし、わが子との向き合い方を伝えていく。
 そうした積み重ねの中で、だんだんと土井ホームから実家に帰っていく子どもが増えていきました。
 本来、子どもは何かを親に訴え「聞いて、聞いて」と親に聞いてもらいたいのです。向き合ってほしいのです。
 子どもに向き合う意味で、私たちの顔はまさに神様の奇跡の造形だと思いませんか。
「目が2つ、耳が2つ、口が1つ」
 子どもの行動を2つの目でしっかり観察し、その声を2つの耳でじっくりと聞き取り、そして耳や目の半分だけ、口で注意するようにつくられているのです。
 その点で、私は「子育て」は「己育て」だと考えています。
(土井高徳:1954年福岡県生まれ、里親。心に傷を抱かえた子どもを養育する「土井ホーム」代表。福岡県青少年育成課講師、京都府家庭支援総合センターアドバイザー、NHKで報道されたり、全国的に注目されている)

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