教師と保護者との関係をよくする方法とは何か
担任と保護者がうまくいかないときがあります。それは保護者に問題があるのではなく、教師側に問題があると考えてほしいのです。
保護者との関係に悩んでいる教師は、まずそう考えることから始めませんか。
教師との関係の悪さが保護者をモンスター化させてしまっているのです。
相手を変えることはできません。とにかく自分を変えることです。自分を変えましょう。
保護者との関係をよくする方法とは、なんでしょうか。
私は40歳で教師になりました。それまでは民間等で働いていました。私が人と接するときに大切にしていることは「相手のふところに飛び込む」ことです。
相手のふところに飛び込むことができれば、邪見にされることはありません。可愛がってもらえます。
相手のふところに飛び込むために、私は次のことを大切にしています。
1 いつも笑顔でいる
(1)いつも笑顔でプラスのオーラを発しましょう。
最初はつくり笑顔でもかまいません。まゆと口角を上げ、心持ち高いトーンで話をしましょう。
特に出会いのときは、意識して笑顔でいましょう。
学級開きや学級懇談会、家庭訪問のときは「輝くような笑顔」で過ごしましょう。
笑顔は七難を隠します。ぜひ、意識してみてください。
(2)ピンチはチャンスと思い込む
クレーム対応のときでも、眉間にしわを寄せたような表情では保護者のふところに飛び込むことはできません。
こういうときは、私は心の中で「ピンチはチャンス」と繰り返します。そうすると暗い表情にならなくてすむのです。
「ピンチはチャンスと思い込む」ことがたいせつなのです。
実際、私が受けたクレームはすべてチャンスに変わり、お怒りの保護者のふところに飛び込むことができ、よい関係が築けました。
(3)苦手な保護者をつくらない
特定の保護者を「苦手」と決めつけてしまうと、その保護者の前ではどうしても笑顔でいることはできなくなります。
訓練して「よいところを見つける」のです。私は電車の中でも、周りの人を見て「よいところ」を探す訓練をしています。
2 信頼される
(1)保護者を信頼する
信頼されるためには、まずこちらが信頼することです。
家の中が荒れていて、子どもに愛情があるのか疑いたくなるような保護者もいます。でも、このような保護者でも信じるのです。
このような保護者であるからこそ「信じている」ということを伝えるのです。
そんなときに私が心がけているのが「共感・ユーモア・スルー」で接するということです。
1 共感
子どもを家に残して夜遊びしている保護者。その理由が仕事と育児のストレスだとおっしゃるとき、共感します。
「そうですよね。お仕事と育児の両立って、本当に大変ですよね」
「そんな中、お子さんの音読を聴いて、カードにサインしていただき、ありがとうございました」
「〇〇ちゃん、お母さんに音読ほめてもらえたと喜んでいましたよ」
共感し、保護者ががんばっていることを承認し、感謝するのです。
2 ユーモア
ユーモアの力を借りて、保護者の子どもを思う気持ちと良識ある行動を信じるのです。
3 スルー
学校のルールと保護者との関係のどちらを優先するかと言えば、私は「保護者との関係」を優先します。
ある程度のことは、見て見ぬふり、気づかぬふりをします。信頼関係を構築するうえで大切なことだと私は考えます。
(2)子どものよいところを伝える
わが子のことをほめてくれる教師は好きになりますし、よく見てくれていると信頼するようになります。
私は保護者一人ずつに、具体的な事実をプラスしてよいところを伝えるようにしています。
学級通信でも、よいところをどんどん載せていきます。公平になるよう名簿でチェックしています。
(3)私は自分のできることを精一杯するようにしている
子どもがケガをしたり、ケンカをしたりして保護者に連絡しなければならないときは、保護者に誤解を生じないよう、子どもと一緒に下校します。
謝罪するとともに、子どもに確認しながら事の経緯を説明します。誠意を尽くし、信頼されるように気をつけています。
3 自己開示する
ありのままの自分を見せ、人のふところに飛び込むようにします。そうすると、人が教えてくれたり、助けてくれたりします。
相手のふところに飛び込むことができれば、邪見にされることはありません。可愛がってもらえます。
4 保護者を味方につける最強の方法
保護者が一番喜び、担任を信頼するのは、わが子の成長を感じるときです。
学級づくり、授業づくりにまいしんすることが、保護者を味方につける最強の方法と言えるかもしれません。
(赤坂真二:1965年新潟県生まれ、上越教育大学教授。学校心理士。「現場の教師を元気にしたい」と願い、研修や講演を実施して全国行脚。19年間の小学校勤務では、アドラー心理学的アプローチの学級経営に取り組み、子どものやる気と自信を高める学級づくりについて実証的な研究を進めてきた)
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