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授業名人の玉田泰太郎は、どのような授業を行ったか

 玉田泰太郎は「1時間の授業をどう組織するか」というとき、子どもたちが学習の主体者として、どう授業を創りだすかということが重要だと考えました。
 授業では教師にとって教えるにたる、子どもにとって学ぶにたる内容を明確にし、具体的な学習課題として提出します。
「何を」教えるかを的確に反映し、子どもたちの学習意欲をかきたてる「課題」が用意できるかどうかが、授業が成立するかどうかの鍵になりますと言っています。
 例えば、理科の授業で、アブラナやナズナで花の何が実になったかを追究してから、学習課題「チューリップの花が咲いた後、実や種子ができますか?」を出す。
 討論後、チューリップのめしべの子房や胚珠を観察し、さらに収穫しておいた実や種子を観察します。それで花が繁殖器官であることが、より確かになります。
 玉田の1時間の学習課題方式の授業は原則的につぎのように構成しています。
(1) 教師による学習課題の提示
(2) 子どもが自分の考えをノートに書く
(3) 教師が「異なる意見に対する子どもの意見分布」を挙手で確認
(4) 子どもによる意見の発表・討論
(5) 他の子の意見を聞いて、子どもがノートに考えを書く
(6) 討論後の意見変更・分布を教師が子どもたちの挙手によって確認する
(7) 教師または子どもが実験・観察で確かめる
(8) 子どもは「実験・観察の結果とわかったこと」をノートに書く
(9)「実験の結果とわかったこと」を早く書けた子どもから読ませる
 それぞれの項目について、説明すると、
1 子どもは自分の考えをノートに書く
 課題が本質にせまる子どもたちの学習課題になったとき、子どもたちは主体的に学習課題に立ち向かうようになります。
 授業では、まず、学習課題に対する自分なりの予想や論拠をノートに書くことから始めます。
 自分の持っている生活経験や学習で獲得したこと、頭の中で構築した考え、直観的なひらめきなど、あらゆるものを使って、学習課題に立ち向かうのです。
 もちろん、疑問や問題点もあらいだして、自由に自分自身なりの考えをだいじにしていくのです。
2 討論
 予想を確認したあと、討論にはいります。
 授業では子どもたちが主役であり、主体的に学習課題を解決していくのですから、教師はできるだけ子どもたちにまかせます。
 討論で、わからない、迷っている子どもの考えをまずとりあげ、少数意見をだいじにし、子どもたちが集団で学習課題の持つ本質的な意味をえぐりだし、解決していくことをだいじにします。
 したがって、学習課題そのものが、子どもたちの多様な考えを出し合い、知恵を集めることによって、その本質が明らかになり、深められ、対立点も浮き彫りになるような中身を持っているものでなければならないのです。
3 討論をふまえて、ねりあけた考えを書く
 討論で追究したことを踏まえて、自分の考えを再検討し、再び学習課題に対する自分の考えをノートに書きます。
 多様な考えの中で、自分自身の考えがどうゆさぶられ、ねりあげられ、深められたかを、主体的に再認識することをだいじにします。
4 実験・観察でたしかになったこと
 実験・観察は、討論を通して自分たちが構築した理論の確かめとして意味を持ちます。
 実験・観察の後、子どもたちは確かになったことを、ノートにまとめます。
 ここでも、追究した論理と、実験・観察をどう結びつけてとらえたかが問われます。
 教師が実験・観察の解説をしたり、まとめたりしなければならないということは、子どもたちが学習課題を主体的に追究して、解決できなかったことになります。
 もし、そうであるなら、学習課題を再検討して、新しい学習課題をぶつけることが必要です。
 学習課題は子どもたちが集団で取り組んでも、手の届かないものであれば、子どもたちの思考は止まってしまいます。
 逆に、安易に誰でもすぐに解決するものであれば、やはり思考は働きませんし、子どもたちの認識を深めることもできません。
 子どもたちがその学習課題に挑戦する手だてを持っていて、しかも、より高次の葛藤やジグザグの試行を経て、新しい発見、飛躍の喜びを実感できるような学習課題でなければならないのです。
(玉田泰太郎:1927~2002年、元東京都公立小学校教師。科教協の会員となり、授業づくりの名人として知られ「ばねの両端にはたらく力」は,学習課題方式の授業の典型である)

 

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