見えない荒れは大きな荒れになっていく、荒れの根っこを見つけよう、マニュアルに頼っていては指導力はつかない
荒れの問題が見えそうで見えない、息の詰まりそうな「見えない荒れ」は、じわじわと広がると大きな荒れになっていく。
教師にとっては強烈なストレスがたまり、逃げたくなります。
この初期の状態を放置したり、指導に失敗すると、本当の学級崩壊や学年全体の荒れに発展します。
例えば、小学校高学年の学級崩壊の初期や、中学校で学年全体が荒れていく初期などに見られます。
はっきりとした目に見える荒れよりもやっかいである。根っこを見つけよう。
「見えない荒れ」はやっかいである。なかなか見えにくいため、指導がしにくいのです。
例えば、教師が「こうしましょう」と提案しても、返事が返ってこないで、誰も実行せず無視されます。
独特の冷たい空気が流れたりすることは、いじめや荒れの初期にはよくあります。
廊下やトイレが汚されることが、広範囲の子どもたちに広まっているということもあります。
最大の特徴は、誰も問題にしない。聞いても「私ではない」「私は関係ない」と無関心か無関心をよそおうことです。どうすればよいのでしょうか。
あわててはいけません。とことん「根っこ」を追求しましょう。
「根っこ」を見つけないことには、指導方針が立てられません。
まず、話を聞ける子どもたちから様子を聞きます。
被害者がいれば、被害者本人に
「きみは気づいていないかもしれないが、きみの言動に対して冷たい空気が流れる気がするけど、きみはどう思っている?」
と聞き、そこを手がかりに「根っこ」を探します。
廊下が汚されているなら、
「いったい、ごみを誰が捨てるの?」
「ごみが落ちていると、感覚がまひしてみんな落とすようです」
「じゃあ、最初のごみは?」
などと「根っこ」を追求します。
時には、休み時間の学級や廊下にいて、それとなく様子を見てみます。
必ず「根っこ」につながる何かが発見できます。
生徒指導は、人を対象した世界です。人の心の中を知ることは難しいものです。
しかも、思春期の子どもです。
この時期に子どもたちの心の中は容易にわかりません。
心の中を知るコツは「よく観る」「よく聴く」です。
そこから手がかりを得て「根っこ」に近づき、指導方針を立てます。
マニュアルに頼っていては、生徒指導の力はつきません。
(吉田 順:1950年生まれ 37年間横浜市立小・中学校に勤務した。担任32年、生徒指導部長16年、学年主任13年などを兼任した。生徒指導ネットワークを主宰。生徒指導コンサルタントとして全国の学校と関わる)
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