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変わったのは、子どもではなく親や教師だ

 子どもたちが問題行動に走るときには、必ずその兆候がある。「自分を見てくれ、救ってくれ」というシグナルを発信している。
 子どもの発するシグナルをなぜ大人は感じ取ることができないのか。答えは明快である。子どもに対する「愛」が足りないからだ。
「子どものことを真剣に考えてきたつもりです。それでも言うことを聞いてくれなかった」という親や教師もいるかもしれない。
 しかし、あなたは「子どものため」と言いながら、
(1)子どもの願いを盲目的に聞いてしまい、迎合してはいなかっただろうか。
(2)子どもがしなければいけないことを代わりにやってはいなかったか。
 そのため、ほんとうに子どもがあなたを必要としているときに、そのシグナルに気がつかなかったのではないか。
 その意味では、あなたは無関心な親や教師たちと同罪であるといわざるをえない。
 子どもに「NO」と言えないのは、おとなたちの責任のがれの詭弁である。
 私は問題のある生徒たちの家庭訪問によくでかけた。
 多くの親に共通していた点があった。
 それは、子どもに対してNOと言えないことであった。
 子どもに迎合してしまい、「ダメ」と言えないのである。
 子どもが、してはいけないことをしたとき、間髪入れずに注意せず、ひとたび認めてしまえば、もう押し返すことはできない。それができない親のなんと多かったことか。
 好き勝手と自由は明確にちがう。いまの社会は、そのバランスがおおいに崩れている。
 「おれにかまうな」は「おれをなんとかしてくれ」という心の叫びである。
 問題を起こす子どもたちは、周囲の気を引きたいだけなのである。自分の存在を認めてもらいたいのである。
 「おれにかまうな」と言いつつも、心のどこかでは叱ってくれることを期待しているのだ。「おれをなんとかしてくれ」と心の中で叫んでいるのである。
 子どもの心が腐っていても、放り投げてはいけない。
 子どもの問題行動は、多くの場合「不」から始まる。
 不平、不満、不信、不公平・・・・・満たされない「不」の気持ちが、「やってはいけないことをあえてする」という行為となって表れる。
 多くの教師は、いい子・悪い子というひとつのものさしだけで、まず子どもたちを選別してしまう。
 そして、悪い子どもは、「どうせ言ったって聞かないから」と、そのまま放っておかれてしまう。
 子どもは人間である。傷んでいるところを取り除いてやれば、絶対によくなっていくはずなのだ。
 それなのに「心が腐っているから」と、子どもの気持ちをおもんばかることなく、捨ててしまう教師がなんと多いことか。
 子どもはおとなの本心を即座に見抜く。子どもの感性を軽くみるな。
 子どもに「こうすべき」と押しつけていないか。
 「子どもが変わった」と感じてしまうのには、教師が子どもに対してフレキシブルに対応できていないという理由もあるのではないかと私は思う。
 教師には、子どもの反応をつねに自分自身にフィードバックさせ、反省し次に活かすことが必要である。
 結果から学ぶという態度をいつも持っていなければいけない。
 つねにそういうスタンスでいれば、どんな子どもと向かい合っても、「いま、この子にはこんなことが必要だ」と経験的にわかるはずだ。
 そうすれば、子どもが置かれたどんな状況にも即応できるのである。
 子どもの本質はかわらない。しかし、私はその時々の子どもに合わせて、子どもそれぞれに合わせて、つねに対応のしかたを変えてきた。
 そして、子どもから学ぶという気持ちを絶対に忘れなかった。だからこそいまの子どもたちだって、私についてきてくれるのである。
 子どもの本質は変わらなくても、子どもを取り巻く環境は時代とともに変わっていき、子どもはその影響を少なからず受ける。
 教師は変えるべきことは変え、守るべきものは守るようにしなければならない。
 そのことに気づかないで、教師は「こうすべき」「こうあるべき」と「べし・べき」を子どもに押しつけてしまう。
 だから「子どもが変わった」と感じ、すべてを子どものせいにしてしまうのではないだろうか。
(山口良治:1943年生まれ 公立高校で無名のラグビー部という恵まれない環境から全国制覇した。ラグビー部生徒への体当たりの指導が多くの反響を呼び、TVドラマ『スクール☆ウォーズ』の主人公のモデルとなった)

 

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