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指導者として大切なことは、子どもにイメージを与えほめる、結果が出ないのは指導者の想いが弱いからだ、どうすれば子どもは変わるか

 最近は「自由」とか「個性」ということばがもてはやされているけど、その弊害というか、いまは「自由」と「好き勝手」のバランスが非常に失われていると思う。
 はじめから自由ということは現実的にはありえないわけでね。何もわからない子どもには、強制を必要とする時期は絶対にある。
 なんでもかんでも好き勝手にするというのが自由ではないだろう。自由や個性というものには、自己責任が伴わなければいけないんだ。
 いま、それが実に少ない。そういうことに気づかせるためには、教育において強制される時期があって当然だし、それなくしてははじめから終わりまで自由にさせて、本当に社会に必要な人間になれるのかなっていう気はするね。
 何をしていいかわからない子にはきちんと目的を与えてやらせる。目的がはっきりしていれば、「これさえやれば、こうなるんだ」とう意識につながっていくんだ。
 逆に、自分の目的に向かって自主的に取り組んでいけるような子は、そのまま見守ってやればいい。そういう子は、何かのときにちょっと手をさしのべてやるだけでグーンと伸びるからね、後からポンと押してやるだけで。
 その意味でも、イメージを与えてやることが大切なんだ。「おまえ、こうなったらいいな」とか「がんばったら絶対日本代表になれるぞ」というように、夢を語ってやったり、目標を語ってやる。
 そういうイメージをその子のなかにぼやっとわかせてやるわけ。それも、個々の子どもに全然違うイメージをね。
 そう言いつづけていくと、本人もだんだんそう思っていくんだよ。そのなかで、徐々にイメージが鮮明になっていく。
 そうなれば、どんどん自分からそのイメージに近づこうとするようになるんだ。何が必要か自分で考えるようになるんだよ。
「やらされてる」のか、それとも「自分でやっている」のか、子どもにどう思わせるのかというのは非常に大事なことなんだ。
 教育に限らず、どんなことでもそうだけど、やっぱり「こういう人になってほしい」とか「こういうチームをつくりたい」というイメージやビジョンを描けない指導者やリーダーは、人を育てることができないんじゃないかなと思うけどね。
 そこでもうひとつ大切なのが、それぞれの段階で「よし、いいぞ」って、きちんとほめてやること。評価してやることだ。
 そういう達成感の喜びがなかったら絶対ダメだね。もちろん、怒ったあとには、ちゃんとアフターケアーをしてやることは言うまでもない。
 よく「いまの子どもは……」って言うだろう。でも、違うと思うね。子どもは変わっていないと、ぼくは思う。
 むしろ変わったのは大人、指導者のほう。「子どもが変わった」とか、「最近の子どもはしんどいことをいやがる」というのは、みんな指導者の言い訳。ぼくはそう思う。
「ここでこういうことに耐えておけば、こんな素晴らしい自分が待っているんだ」というように、子どもがドキドキするようなものを与えてやれば、絶対に反応は返ってくるんだよ。
 子どもの反応が返ってこないというのは、伝える力が弱い。
 子どもに伝える力が強いか弱いを知るのは簡単なんだ。自分に矢印を向ければもう、いっぺんでわかる。
 子どもの結果から学ぶことは、われわれ指導者にとっては非常に大きいんだよ。結果から学ぶというスタンスを、指導者やリーダーはしっかり持たないといけないと思うんだ。
 われわれ教師は前年と同じことをやっているわけにはいかないのだよ。
 つねに結果をフィードバックさせて、反省し、次に活かす。
 子どもを見て、「ああ、いまの子たちにはこんなことが必要だ」ということを経験的にわからないといけないんだ。
 一方では時代が変わっても絶対に残していかなければいけないことも当然ある。そういう気持ちでいれば、どんな子が入ってきてもつねに子どもの状況に対応できるはずなんだよ。
「こうすべき」とか「こうあるべし」っていうことを押しつけてはいけない。それがわからないから、ついつい子どものせいにしてしまうんだ。
 だから、「言っても、わからん子はあかん」と言って、それで切ってしまうのではなくて、
「どうしたらわかるようになるのだろうか」とか
「どうやったら勉強するようになるのだろう」と矢印を自分に向けて、
「じゃあ言い方を変えてみよう」というふうに考えてみる。
 いいか悪いか、できるかできないかで選別してしまうんじゃなくて、
「どうしたらできるようになるんだろう」ということにウェイトを置かなければいけないんだ。
 ちょっとしたきっかけを与えるだけで、子どもは本当に変わるんだよ。そんな指導者や教師を子どもたちは求めているんだ。
 そのためには、矢印を子どもに向けてしまってはダメ。
「おれは子どもたちに何をしてやったんだろう」といつも自分に問いかけて「どうしたらいいんだろう」と考える。
 そういう気持ちがいちばん大切だし、そうしないかぎりは、子どもを変えてやることはできないと思うね。
(山口良治:1943年福井県生まれ、ラグビー指導者で元日本代表。高校教師として京都の無名の公立高校をラグビーで全国制覇させた。ラグビー部生徒への体当たりの指導が多くの反響を呼び、TVドラマ『スクール☆ウォーズ』の主人公のモデルとなった)

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