受験生の保護者がわが子に向って言っていけないタブーの言葉と、わが子が感謝する言葉とは
河合塾には、毎年、受験を終えた多くの塾生が残した次のようなアンケートがあります。
1 言ってはいけないタブーの言葉
(1)「勉強しなさい」
これは言って欲しくない言葉の1位でしょう。
親の気持ちとして「学生時代にもっと勉強しておけばよかった」ということを大人になるとたくさん経験する。そんな思いをして欲しくないから、わが子には勉強できるうちに勉強して欲しい」と。
しかし、子どもはそうは受け取りません。「口を開けば、勉強、勉強・・・」「いつも感情的なんだよなぁ」
「勉強しなさい」とつい言ってしまい、親子関係が上手くいかないという保護者には、
「勉強しなさいと言いたくなったときに、その言葉を飲み込むように」とアドバイスします。
いったん、飲み込んでみると、意外と抑えられるものであることは経験上、わかると思います。
ただし、勉強しなさいと言わざるをえない状況になれば、勉強に手をつけるべきことを、ハッキリと言いましょう。
(2)「きょうだいで、どうしてこんなに違うの?」
親としては、叱咤激励の意図があったとしても、わが子は「比較ばかり、しやがって」と劣等感が増し「やる気」に結びつくことは、まずない。
(3)「今まで遊んでいたのに、受かるわけないでしょう」
一方的な決めつけから、わが子の将来の可能性を否定する一言です。
何気ない言葉のほうが、人の心に響いたり残酷だったりします。親子だからこそ、気をつけたいものです。
(4)「お母さん(お父さん)が学生の時は、今のあなたよりも勉強してたわよ」
(5)「結局、あなたの人生なんだから好きにしなさい! でも、今、勉強しないで後悔するのは、あなただからね」
わが子が、いたく傷を受ける表現の言葉です。身近な人間のちょっとした言動に傷ついたりするものです。
「逆説的な励まし」はあまり通用しないものと心得ておきましょう。
2 わが子が感謝する言葉
わが子が感謝している言葉はお父さんが多いのです。
社会人の先輩としてのお父さんの言葉、社会の荒波にもまれているからこそ発せられる言葉が、社会に出ようとするわが子を揺さぶるのではないかと思われます。
ただし、次の言葉が説得力を持つためには、保護者自身も、仕事や家庭生活で活き活きとした姿を見せる必要があります。
(1)「 お前がウチの財産なんだ。お金のことは気にするな」
子どもではどうにもできないお金について「気にするな」という、強いメッセージです。
(2)「自分で選んだ大学が一番いい大学。あなたを信じているからね」
わが子を大人として認め、信頼という言葉を表現している。
(3)「報われない努力はないよ。目先の結果にこだわるな」
社会で頑張っている親だからこそ言える言葉でしょう。
これに「自分を信じて」という表現を加えれば、反抗的なわが子にでも、強い説得力を持つのではないでしょうか。
保護者は、決して過干渉ではなく、放置でもない「絶妙な伴走者」であり「伴奏者」であることが望まれるのです。
(齊藤淳一:1963年生まれ、河合塾20年以上のキャリアがあり、河合塾進学アドヴァイザー)
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