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学力が上がるなど、頑張っている小学校はどのような実践を行っていたのか

 大阪府下の頑張っている小学校を紹介する。
 私がその小学校を訪れたときの第一印象は、子どもたちが「よく遊ぶ」そして「よく聞く」というものであった。
 この小学校で大事にされている「仲間づくり」をおし進めていくうえで「遊び」を重要な活動と位置づけている。
 遊びの時間は、朝8時10分から始業までの「朝遊び」、毎日の休み時間に組み込まれている「班遊び」と、週2回の「クラス遊び」、さらに週2回、放課後に設定されている「放課後遊び」がある。
 教師は、できるかぎり子どもたちの遊びにつきあい、子どもたちの微妙な心身の調子や仲間関係の「あや」を見とり、日々の指導に生かしていく。
 子どもたちは、非常によく人の話を聞く。子どもたちは教師の言葉にしっかりと耳を傾けている。クラスで子どもたちが発言する時にも、しっかりと聞いている。
 もし、人が発言しているときに、おしゃべりしている子がいれば、すかさず周囲からの注意の声が飛びもする。
 低学年の教室では「聞く・話す」のルールの徹底が図られている。
「話していいですか」「はい!」、「聞いてください」「はい!」などというやりとりが、ひんぱんに聞かれる。
 また、教師が
「〇〇さんの聞いてほしい、という気持ちが届いていない人がいるね」
「その座り方、失礼かどうか考えてね」
「手ひざ! 1,2,3,はい集中」
「先生の言うことを、一回で聞いてください」
「失礼な態度はやめましょう。やさしい態度で、聞いてあげてね」
 といった言葉がけが、随時、行われている。
 そうした丹念な指導を通じて、こどもたちの間には、人の話をしっかりと聞くことは他者を尊重することの第一歩であるという常識が打ち立てられることになる。
 この小学校では、子どもたち全体の基礎学力が高いだけでなく、不利な家庭環境のもとにある子どもたちの「落ちこぼれ」を防ぐ、学力の下支えが次のようになされている。
1 わからない時に、わからないと言える学習集団づくり
 教師たちが研修会やふだんの会議・打ち合わせ等で常に立ち返る言葉である。
 教室では「間違う」ことが推奨されている。
 教師たちは折りにふれ「間違ってくれたことによって、みんなの勉強が深まる」という言葉がけを子どもたちに行う。
2 授業と家庭学習とのリンク
 各単元ごとに「みんなでやってみよう」「ひとりでやってみよう」「家でやってみよう」の3つのパートでできている。
 授業の中で、「みんなでやってみよう」の課題にとりくむ。次に「ひとりでやってみよう」にチャレンジする。
 授業の最後にまとめをクラス全体でおこなったあと、「家でやってみよう」の課題を家庭でこなしてくる。
 翌日の授業は、その課題を確認することから始まる。
 家庭学習を重視するポリシーは親に受け入れられている。
 低学年で1時間、高学年で1時間半をメドに家庭学習を課している。
 毎日の国語・算数の復習プリント、漢字・計算ドリル、本読み、自由学習など
3 弾力的な指導体制
 一人の子どもを学級担任だけが見るのではなく、学年全体、学校全体で育てていこうとする。
 一人の子どもを複数の目で見ながら、その子どものよさは何で、その子どものカラーは何で、次にどうしていこうかというのを、みんなの先生と話し合いができる。
 そうしたなかで、教師たちは、自分の見方も変わってくるし、鍛えられてきた面がある。
 みんなでやっていくということを教えられる。
 子どもにとって、いいのか悪いのかという基準だけで柔軟に動いている。
 子どもにこういう力つけてほしい。こういう現状があるからこうしていこう。そのために学年のなかで全員が同じ気持ちを持ってやっていくための打ち合わせが綿密である。
 形式的でなく、悩んでいること、わからんことをすべて言い合う。
4 学力を高めるための指導
(1)基礎学力定着のための指導の徹底
① TT・・・・クラスを二分割して授業をおこなう。
② 習熟度別編成・・・・発展的指導と補充的指導のコース、チェックテストをふまえて、子どもが選択する。
 ③ 毎日学習・・・・・昼休み20分利用して、その日の学習内容を補充する。学年ごと、あき教室でおこなう。
 ④ 放課後学習・・・・週2回学年ベースでおこなう。その子が不得意を補充する。
(2)診断テストによるパーフォーマンスの継続的なチェック
 算数・国語の基本的な学習内容の診断テストが全学年で実施されている。
 結果は、その年度の指導内容に反省が加えられ、次年度の指導方針が定められていく。
(3)日常的な単元末テスト、学期末テスト
(4)方針の決定→活動の実施→結果の総括
 子どもたちの基礎的な学力の定着状況が、恒常的にモニターされている。
(5)大事にされているのが「配慮を要する子ども」(低学力)に対する働きかけ。
 一人ひとりの子どもの達成状況と課題が細かく明らかにされ、その課題をクリアするために、日常的な補充学習や家庭学習のあり方までを含めたプログラムが組まれる。
(志水宏吉:1959年兵庫県生まれ、大阪大学人間科学研究科教授。専門は教育社会学・学校臨床学)

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