授業の発問は。子どもの興味の実態をつかんで発問するだけでなく、子どもより広く高い視野を教師が持って発問しよう
子どもの興味や関心がどこにあるのか、実態をつかんで、発問するのがいい発問という考え方があります。
たとえば、「ごんぎつね」の授業に入るとき、一読させた後、感想をノートに書かせ、子どもが注目していることをきっかけとして授業を展開する、という方法です。
ほとんどの子どもが「ごんはかわいそう」と書くので「ごんのどういうところが、かわいそうでしょうか」と問うと、授業は盛り上がるというのです。
ただ、子どもの興味や関心を基本に発問を組み立てると、結局のところ、子どもの視野の中だけでの授業展開になってしまいがちです。
教師はもっと深い読み取りをして、子どもの発想とは違う視点を提示していかなくてはなりません。
すると、子どもは戸惑うでしょうが、しだいに高みに引き上げられていき、真剣に考えるようになります。
問われてはじめて気づくこと、見えてくることもたくさんあるのです。
たとえば「『ごん、おまえだったのか』という兵十の台詞は、語尾を上げて読むか、下げて読むか」という問題意識は、子どもが自分で持つことはありません。
そのように問いかけると、子どもは夢中になって考え始めます。
最初は気づかなかったことでも、問われることによって、興味や関心をもつようになるなら、その問題意識は子どもの潜在意識の延長上にあったと考えていいでしょう。
子どもを伸ばすのは、子どもの現在の興味や関心にそった発問ばかりでなく、「興味・関心の延長上にある発問」なのです。
「先生に、このような質問をされたから、この作品の深みがわかった」と実感できるのが、優れた発問なのです。
(野口芳宏:1936年生まれ、元千葉県公立小学校校長、植草学園大学名誉教授。千葉県教育委員会委員長職務代理者、日本教育技術学会理事・名誉会長、授業道場野口塾等主宰)
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