保護者への対応が苦手な私がどのようにして苦にならなくなったか
保護者への対応は、教師になった私にとって苦手な分野だった。
もともと人と積極的に交わるタイプではないし、交友関係も広いわけではない。
そのような私は、保護者と話すことは、とても気が重かった。
特に、うまく指導ができていない子どもの保護者に対しては「何か言われるかも」と苦手意識が先立ち、余計に口数が少なくなった。
しかし、私は保護者に助けられた。
どうしても、その日に渡さなければいけない集金袋を配布するのを忘れて、一軒一軒、夜にバイクで渡したことがあった。
あとで、保護者から「あの時に、ずいぶん責任感のある先生だと思った」と話された。保護者が新任教師を育てているようなものだった。
保護者対応が苦手といっても、何も工夫しなければ、ずっと苦手なままである。
私が新任の時には、授業力向上を優先していたので、そのまま半年が過ぎてしまった。
そんななか、地区のPTAバレー大会が11月にあるので、その練習の誘いを受けた。毎年若手教師も何名か参加しているという。
運動が得意なわけでもなかったが「まずは参加してみることが大事」と考えた。
実際に参加してみると、大きなメリットがあった。
まず、一緒に運動をすることで親近感が生まれ、保護者との距離がどんどん縮まった。
そうすると「教師と保護者」という関係ではなく、「大人と大人」の関係になり、雑談もできるようになった。
担任している保護者もいて、懇談会や家庭訪問の時とは違い、わりと気軽に話せるようになった。
それまでは、保護者というのを意識しすぎて「何か言われるのでは」と構えていたのかもしれない。
「子どもをよりよく成長させたい」という思いは同じなんだから「パートナー」と考えればいいのだと思うようになった。
不思議なもので、見方が変われば対応も自然に変わってくる。
保護者から「〇〇してくれませんか」と注文を受けた時にも「自分が責められているのではない。子どもたちの成長のために言っているんだなあ」と思うと、素直に受け入れられた。
保護者との距離が縮まると、積極的に連絡をするようになった。
子どもたちの成長が見られたには「今日の○○くん、すばらしかったです。というのは・・・・」というように連絡帳に書くようになった。
わが子の成長ぶりを聞いて、喜ばない保護者はいない。
苦手だった保護者対応にも、少しずつ手ごたえを感じるようになった。
(佐藤正寿:1962年秋田県生まれ。岩手県公立小学校副校長。「地域と日本のよさを伝える授業」をメインテーマに教材開発に力を入れている)
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