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「教え上手」と言われる教師に共通しているものは何か

「教え上手と言われる教師に共通しているものは何か」と、私は長年の教員生活を通して考えてきました。
 それを考えるには、二つの軸が必要です。
 ひとつは「技術」、そしてもうひとつが「人間性」です。
 指導力不足教師が問題となっています。彼らは教え下手の代表ともいえる存在です。
 二つの軸に当てはめて考えると「技術」も「人間性」も低いということになります。
「技術」がないので、わかりやすく説明することができない。
「人間性」も低いので、教わる子どもを思いやることもできない。
 これでは指導力不足といわれてもしかたがありません。
 このことから、「教え上手」がどのような教師のことを指しているかおわかりでしょう。
「教え上手」とは、
(1)わかりやすく、そして、教わる子どもたちに学びたいと思わせる「技術」を持もっている。
(2)子どもたちを思いやるような、心とユーモアを備えた「人間性」を持つ。
 教師のことを指すのです。
 また、技術は「人間性」の下支え、裏打ちがあって有効になるものです。
 教え上手というのは、技術を技術に見せません。
 技術を使っているときでも「いかにも技術を駆使しています」とは、あからさまに見せないのです。
 では、どのように見せるか。「技術」を「人間性」のように見せるのです。
 たとえば、子どもたちの注意を引くために黒板にわざと日づけを間違えて書く。
 そういうときも、優れた教師は「つい間違ってしまった」かのように、つまり、それがあたかも人間性から生じたほころびやうっかりミスのように見せて、技術でやったとは子どもたちに感じさせないのです。
 子どもたちを笑わせても、それが人間性からにじみ出たユーモアのように思わせて、テクニックとは悟らせない。
 いいかえれば、「教える技術には、人間性が如実に反映する」のですから、ごまかしがききません。
「人間性」が浅い人には、薄っぺらな教え方しかできないのです。
(有田和正:1935-2014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)

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