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指導者にとって自分を高めるために大切なことは何か

 指導者として仕事が好きであるということが一番大切だと思う。
 指導者は決して楽なことはない。文句をいう人もいれば、反対する人もいる。その中で仕事をしていくのだから、ずいぶんと気の疲れることである。
 まして、いろいろな困難が次つぎと生じ、それに的確に対処していくことは大変なことである。
 だから、それを大変だな、苦労だなと思う人は、指導者にはなれない。
 そういう、他人からみれば大変な苦労でも、本人は楽しんでやっているのだから、いくらやっても疲れることがない、いいかえれば、そのことが好きであることが必要なのである。
 この「好き」ということは、何をやるにしても一番大切だと思う。
 指導者は自分の利害とか感情というものをすて去って、何が正しいかを考え、なすべきことをなしていくところに、力強い信念なり勇気が湧き起こってくるといえよう。
 指導者として、人を動かすには、根本に正しい理念、方針をもたなくてはならない。そういうものがなくて、人を動かすことはむずかしい。
 けれども、正しい考え、主張であれば、人は何でも受け入れ共感してくれるかというと必ずしもそうではない。
 それを強引に相手に押しつけようとすれば、反発を招くこともある。説き方、訴え方が大切で、説得力が必要になってくる。
 根底に何が正しいかという信念を持ち、時や場所を考え、相手を考え、情理を尽くした配慮があって、はじめて主張や訴えが説得力を持ってくるのだと思う。
 人間は、疑いの気持ちを持って人に接すれば、そのように人は反応し、信頼の気持ちを持って接すれば、人はうれしいと思う。
 指導者はまず、強い信頼感を持って人に接するということがきわめて大事だと思う。
 たとえ裏切られても本望だというぐらいの気持ちがあれば、案外に人は信頼にそむかないものである。
 何か事をなしていく場合に、信用というのはきわめて大事である。「あの人なら大丈夫だ」といった信用があれば、容易に事が運んでいくだろう。
 自分が信用しない人には、誰もついていかない。信用している人には、ついていこうとする。
 指導者は私情をすて、きびしさとやさしさが必要である。
 すぐれた働きや成果があればほめ、あやまちがあれば叱ることが適切に行われてはじめて、集団の規律が保たれ、人々も励むようになる。
 やさしさばかりでは、人々は甘やかされて成長もしない。かといってきびしい一方では、うわべだけ従うというようになって、自主性をもってやるという姿が生まれてこない。
 だから、ほめ、叱るということはぜひとも行われなくてはならないし、適切、公平になされなくてはならない。
 軽すぎては効果がうすく、重すぎても逆効果ということになり、まことむずかしいものである。
 きびしさはなるべく少なく10~20%ぐらいにして、きびしさがみんなによく浸透していることが望ましい。人情の機微に通じてこそできるのだと思う。
 そのさい、大事なのは私情をはさまないということだろう。私情が入っては納得させることはできない。
 適切にできれば、それだけで指導者たり得るといってもいいくらいである。
 指導者は、たえず自問自答していくことが大切である。
 指導者はあやまちのないように、毎日自分の行いについて、自らに問い、自ら答えるということをくり返していかなければならない。
 自分一人ではわからない場合は、他の人にたずねてみる。
「自分はこう考えているが、どうだろうか」と。得た答を自分自身の考えに加味して検討していくということを重ねていけば、あやまちを少なくやっていけるのではないかと思う。
 人にはそれぞれにちがった持ち味がある。
 一人として全く同じということはない。
 他の人の通りにやったらうまくいくかというと、そうではない。むしろ失敗する場合が多いと思う。
 人のやり方をそのまま真似るというのではなく、それにヒントを得て自分の持ち味に合わせて生かすことが大事なのである。
 すぐれた指導者は、組織の中で一番謙虚で、感謝の心がつよいように思われる。
 私がお会いした、すぐれた成果をあげておられる指導者に共通していることは、どの人もまことに謙虚で、きわめて感謝の念にあつい人である。
 人につねにそうした態度で接しているので、だれもが好感を持つから、多くの人々の知恵があつまってくる。
 それが会社を発展させる最大の力になっているのだと思う。
 指導者にとってその大切さが改めて痛感された。
(松下幸之助:1894-1989年、パナソニック(旧名:松下電器産業)創業者。経営の神様と呼ばれた日本を代表する経営者)

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