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教師は授業の「はじめ、中ごろ、終わり」は、どのように話せばよいか

1 授業のはじめ
 落語の場合、いきなり本題に入ることはありません。
 枕という、ちょっとした話が必ずあるのです。
 この枕というのは、観客を温める、これからする話の前フリをしておくなどの役割があります。
 この枕が面白い落語家は、落語も必ず面白いと言われています。
 授業の場合、枕は必要なのでしょうか。
 はい、必要です。枕が面白い教師は、授業も面白いのです。
 私の場合、授業の枕の話し方として、みんなに向って話しかける(第三の輪)と誰か特定の相手に話しかける(第二の輪)を意識的に使い分けてはなします。
 たとえば、算数の授業で、
「今日から立体の勉強やけど、教科書にはいろいろな形のお菓子の箱の写真がありますよね」(第三の輪)
「おっ、岡林くん、もう教科書、見てるやん」(第二の輪)
「えらいなぁ、よっぽどおなかすいてるんやね」(第二の輪)
 この後、子どもたちは、お菓子の箱をいくつかの仲間に分けるという問題が来ると予想していました。
 でも、この日はあえて、さらにワンクッション入れたのです。
「さて、問題です。岡林くんの好きなお菓子は何でしょう」(第三の輪)
2 授業の中ごろ
 小学生が集中できる時間は、10~15分ぐらいと言われています。
 いかなる時も、集中できる時間が10~15分ということではありません。
 楽しければ集中力は高まるのです。つまり、授業の半ばで、子どもたちが「だれてきた」ということは、授業がつまらないということです。
 授業の腕はそんなに簡単に上がらないので、45分の授業を15分の3つのブロックに分けて、そのタイミングで新たなネタを持ってきたり、その筋目付近で子どもたちの活動を入れたりすると、「だれる」ことも少なくなります。
 実際、「だれてきた」とき、どうすればよいのでしょうか。
 たとえば、「だれてきた」とき、いきなり「起立!」と大きな声で、速く、短くスパッと言い切ります。
 朝の会の時、「先生が『起立』と言ったら、何をしている時でも、それをやめて起立してください。いいですね。やってみます」と、何度か練習しておきます。
 授業の途中、少し「だれてきた」なと思うときに、「起立!」と言うと、子どもたちは慌てて立ちます。
「おっそいなぁ。何をしている時でも、それをやめて、と言ったでしょ」
 と、ここは、笑顔で優しく話します。緊張と緩和で笑い声が起こるはずです。切れかけた集中力もリセットできます。
3 授業の終わり
 授業の終わりに絶対やってはいけない話し方は「教師が話し過ぎない」ことです。
 教師が授業のまとめを長々と話してはいけない。授業の主役は子どもたちです。
 私の場合は、次の通りです。
(1)子どもたちがふりかえりの文を書く。
(2)練習問題をして学習内容を確かめる。
(3)オープンエンドで終わる。
 たとえば、社会科の授業で、
「縄文時代について、いろいろな『はてな』が見つかりましたね。つぎの時間、教科書、資料集で調べていきましょう。でも、家に資料がある子は持ってこれるといいなぁ」
 と、あくまでも、独り言のように言い切ることがポイントです。強制ではないところが、子どもたちのやる気にスイッチを入れます。
 調べてくる子も数人でてきます。もちろんほめまくります。
(俵原正仁:1963年生まれ、兵庫県公立小学校校長。笑顔の教師が笑顔の子どもを育てる実践はマスコミにもとりあげられた)

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