思春期の子ども(小学校高学年)は、どのような点に配慮して子育てすればよいのでしょうか
小学校高学年になると、思春期に向かい、親から離れて自分の人生を歩み始めます。
この時期の子育ての指針は「自分の考えで行動でき」「目標を自分で選択し」「仲間のなかで自分を表現していける」子どもを育てるという3つがあります。
だから、これからは一方的に知識を詰め込むのではなく、どうしてそうなるのか、リサーチする学習が大切になります。
この時期に伝えたいのは、人間のすごさです。
職人さんのワザを見せたり、仕事への思いを聞いたりして、人間にとって仕事とは何なのかを考えさせたいのです。
その人の素敵さを感じることで、自分はどう生きるべきかと、そこに自分の身を置いて考えるようになります。
これまで外の世界に向いていた目が、自分の内側に向くようになると、なりたい自分と今の自分とのギャップに気づき、コンプレックスを抱くようになります。
そのなかで自分を支えてくれるのは「今のままのあなたでいい」と言ってくれる人の存在です。
「ゆっくりでいいからやっていこう」と応援し、「できた」実感を積み重ねていくことが、自己肯定感を育てます。
からだが変化する思春期の時期に、人間のからだを知ることです。
早く成長する子は早いことに、遅い子は遅いことに悩みます。
この時期に、どうやって人間は命をつないできたのかを知ることで、子どもたちは、人間の神秘やすごさを知り、自分のからだに起こる変化を、肯定的にとらえることができるようになります。
思春期に入り、まわりの大人の生き方に共感や反発を感じ始めます。
子どもは大人を客観的に観察し、大人の権威を押しつけられることを嫌います。
この時期の子どもは、純粋なほんもの志向です。ほんものに出合ったときの子どもの受けとめ方の深さには、すばらしいものがあります。
自分のなかに起こっている、からだや心の変化をもてあまし、イライラして、暴言や暴力などの行動を起こしてしまうこともあります。
このとき、親が理路整然と言い聞かせようとするよりも、自分の感情で、正面から子どもにぶつかっていいと思います。
たとえば「今、こういう状態になっているあなたが悲しい、親として手を差し伸べられないことが悲しい・・・」と、本音でぶつかりながら、分かり合っていくほかありません。
性教育は、きちんと説明するより、おおらかに接するのが正解です。親から子どもにきちんと説明する、というのはなかなか難しい。
子どももそれを望んでいないことも多いもの。人間の成長や生命につながっていくしくみをきちんと扱った本を、子どもの目に触れるところに置いておく、テレビをみているときなどにさりげなく話題にする、というようにおおらかに接していきましょう。
子どもたちには、「読書」を強くおすすめします。この時期の子どもには、人間の奥深さを学んでほしいと思っています。
ずるさや弱さ、情けなさをも含んだ、人間の“味”が読みとれる作品にめぐりあってほしい時期でもあります。
小学校高学年ともなると、思春期の第二次性徴の時期となり、多感で不安定になります。女の子は、初潮にともなう感情の起伏があり、男の子にも、精通にともなうモヤモヤ感で悩んでいる子がけっこういます。突然カーッとなる子どもの多くが、自分の感情をどう処理してよいか分からず、悩んでいるのです。
思春期の感情の揺れや、それによるトラブルは、大人になる過程で必要なことなので、過剰に反応しすぎないほうがよいのですが、足元をしっかり支えてあげる姿勢は大切です。
基本的には、まず生活を整えることです。朝きちんと起きること、夜しっかり寝ること、バランスのよい食事をとること。このように、ふつうの生活をていねいに送ることで、時間が解決していくこともあります。
そのあいだは、親がいつでも子どもに対して「開いた」状態でいることが大切です。よくないのは、子どもに無関心なこと、逐一、聞き出そうとすることです。
子どもをつらくさせます。「言いたくないなら、今は言わなくていい。でも、あなたに何かあったことには気づいているし、いつでもあなたの助けになりたい」というメッセージを伝え続けてください。
最近は、子どもがほけんの先生に相談することが増えています。保健室は、小さなカウンセリングの場です。「ほけんの先生」(養護教諭)だからこそ言って相談できる、という子どももいます。
ですから、心や身体のことで、誰に相談していいか分からない場合は、ほけんの先生に相談することで、お母さんの感じていた悩みと結びついて、解決に向かっていけることもあります。
また、不安やストレスを抱えている子どもにはホッとする場所でもあります。
高学年の子どもは、自分の身体の変化に興味と不安を持っています。子どもの性に関することは親として説明するのが難しいこともあります。
そこで、親が「お母さんにはじょうずに説明できないけれど、学校で、ほけんの先生が教えてくれるから、聞いておいで」と言ってもよいでしょう。
(黒笹慈幾 1950年生まれ、元小学館 家庭教育雑誌『エデュー』の編集長)
| 固定リンク
「子育て・家庭教育」カテゴリの記事
- 親のダメな叱り方とは 岩立京子・無藤 隆・菅原ますみ(2021.05.06)
- 反抗期の子どもを親はどのように叱ればよいか 福田 健(2021.05.03)
- 聞き上手な親になるにはどうすればよいか 福田 健(2021.04.30)
- 家庭で父親と母親はどのような役割をはたせばよいか 内田玲子(2021.04.19)
- 親はどのように子どもを育てればよいでしょうか(2021.02.25)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント