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新学期が始まったとき、学級担任や子どもが期待することは何か

1 学級担任が始業式の日に話すこと
 私の勤務している地域では、4月5日が始業式です。新しい出会いがあります。私達教師も新鮮な気持ちになります。
 子どもたちも、「新しい友達は?」「今度の担任の先生は?」と、ワクワクした気持ちで学校にやって来ます。
 そんな出会いの日に、私はいろいろな話をするのですが、
「先生は、みんなと楽しく生活したいと思っています。でも、こんなときは厳しく叱るよ」
 と、言って、次のような話をします。
「先生がみんなを叱る時は、3つあるよ」
「一つ目は、『いじめ』をした時」
「二つ目は、命にかかわるような危険なことをした時」
「そして、三つ目はね、同じことを3回注意しても、それを改めようという姿がみられなかった時」
 この3つの中で、3つ目を少し詳しく子どもたちに説明します。
「先生は、できないということを叱るんじゃない」
「やろうと思えばできるのに、できるようになろうと努力しないそんな態度を叱るんだよ」
 と、説明するのです。
 1年間の始まりの日。わんぱくな子どもたちも神妙な顔つきで聞いてくれます。
「できなくても頑張ることが大切なんだ」と、思ってくれます。かわいいですね。
 その後、一人ひとりと握手をして、さよならをします。
 小さな手を握りしめながら、
「一年間、楽しい学校生活にしようね」
 と言って教室から見送ります。
2 子どもが考えるよい先生とは
「もしも、あなたが先生になったら、どんな先生になりたいですか」と、いうアンケートの結果があります。各学年の上位3つをみてみると、
(1)小学2年生
「悪いことをきちっと注意し」「わかりやすく教え」「宿題をよく出す」先生。
(2)小学4年生
「おもしろくて」「わかりやすく教え」「悪いことはきちっと注意する」先生。
(3)小学6年生
「おもしろく教え」「だれにでも公平で」「わかりやすく教える」先生。
 これを読んで、どんな感想をもちましたか。
 発達段階から、このデータを見ると、学年が上がるほど高くなっているのは、
 1 「おもしろく教えること」(21%~46%)
 2 「一人ひとりのよさを認めること」(8%~34%)
 3 「子どもの言い分をよく聞いてくれる先生」(7%~23%)
 などです。
「子どもの一人ひとりのよさを認め」
「子どもの言い分をよく聞いて」
「子どもがおもしろい」
 というような授業や、学級経営が大切なんですね。
 子どものほうが、大人が書いた教師論よりも、はるかに的確に学年の発達に応じたタイプを射当てているようです。反省させられます。
 時には、子どもに聞いてみることも大切ですね。
3 子どもの言葉づかい
 新しいクラスを担任したり、新学期が始まったりした時に、子どもたちに次のようなアンケートをとり、教室内に結果を掲示します。
 内容は「学級にあふれさせたい言葉」「学級からなくしたい言葉」というものです。ある年のアンケート結果では、
(1) あふれさせたい言葉
1位「ありがとう」
2位「おはよう」
3位「一緒に○○しよう」
4位「○○くん、○○さん」
5位「はい」
(2) なくしたい言葉
1位「ばか」
2位「死ね」
3位「何しよるんか」
4位「あんたには関係ない」
5位「どっかいけ」
 毎日、一緒にいる教室。あたたかい絆で結びつく、そんな学級集団をつくりたいと思っています。
 掲示するとき「あふれさせたい言葉」はあたたかい色(ピンク)の紙に、「なくしたい言葉」は冷たい色(ブルー)の紙に書いています。
 学級の子どもたち、一人ひとりを育てていくときに「言葉」のちょっとした指導はとても大切だと思います。
4 家の人にしてほしいこと
 新学期が始まって2週間。学習のほうも本格的にスタートしています。
 多くの子どもたちは、新しい学年、学級、担任の先生のも慣れてきて、元気いっぱいに過ごしています。
 そんな子どもたちは、学習についてどんなことを思っているのでしょうか。
 つぎのようなアンケート結果があります。
「Aくんは、計算が苦手なので、毎日毎日、がんばっています。もし、あなたがAくんなら、このような時、家の人にしてほしいことは何ですか?」と、小学生に聞いたものです。結果は、
1位「困った時は相談にのって欲しい」(45%)
2位「がんばっていることを知って欲しい」(24%)
3位「黙って見ていて欲しい」(12%)
4位「励ましたり、ほめたりして欲しい」(11%)
5位「何もして欲しくない」(9%)
 です。
「困った時は相談にのって欲しい」は、学年が上がるにつれて下がっていきますが、
「がんばっていることを知って欲しい」は逆にどんどん上がっていきます。
 特に、女子が高いです。認めて欲しいのでしょうね。
「興味や関心」を起こさせて「がんばっていることを認めて」あげると「勉強が得意になる」と、子どもたちは言っているのですね。
(菊池省三:1959年生まれ 福岡県北九州市公立小学校教師、2015年に退職。コミュニケーション教育を長年実践した。「プロフェッショナル-仕事の流儀(NHK)」などに出演、「 菊池道場」(主宰)を中心に全国で講演活動をしている。 北九州市すぐれた教育実践教員表彰、福岡県市民教育賞受賞)

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