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教師が言わなくても、子どもたちが掃除をするようになる指導のやり方とは

 子どもたちに何か価値のある目標、充実感を持てる目標を発見させていきます。
 学級経営でいうと、掃除の分担です。これを「一人一役」で与えていくのです。
 掃除を一定期間(場合によっては一年間)、一人の子どもに担当させるのです。例えば、鈴木くんは黒板の掃除を一人で行います。
 黒板にクラス全員の掃除分担表を張っておくのです。
 掃除の時間はつくらず、休みの時間に各自でやります。
 子どもが帰ってから、私が必ず教室を見まわって掃除のチェックをします。
 できていれば○、できていなかったら×を分担表のところにつけておきます。
 ×のところは、私が掃除をしておきます。
 一週間もたつと、○がならんでいる子ども、×ばかりの子どもと、掃除の状況が明確になってきます。
 そのあたりで一回、指導をいれます。「なんで×ばかり並ぶんが、おるんや!」と、やるわけです。
 ×をなくすために、回数と時間のかかる忍耐をともなう指導を行うのです。
 しかし、なかには掃除ができない子どももいるのです。やり方がわからないのです。
 そこで、その子には個別に声をかけます。
「なあ、今日は先生も掃除するから一緒にしようか」
 やり方を教えながら、一緒に掃除をやりきって表に○をつけてあげるのです。
 すると、翌朝、その子は「あっ、今日は○やないか」と、みんなにいわれる。悪い気はしません。
「やった。おれにも掃除ができたんや」と、ほんの小さなことですが、一つのことをやり遂げた満足感や充足感、達成感を感じることができるのです。
 教師が手を抜くことなく、本気でつづけていくと、やろうと思うようになります。
 いわなくてもやるようになったことを、ほめてあげる。
 やがて、ほめてあげなくても、黙っていても自主的にやるようになる。つまり、自立型人間です。
 いつも×だった子どもが○になったとき、私は、その子をほめちぎります。「学級便り」などでもほめるのです。
 この○×の評価は、私と子どもたちの一対一の関係もつくります。
 一人ひとりが私のまなざしを感じる。
 自分の存在をわかってもらえるという実感を与え、それが子どもの癒しにもなっていきます。
 子どもたちは、自分の居場所を求めています。
 自分のことをわかってほしいと考えています。それに応えてあげるのです。だから「一人一役」なのです。
「できた」「やれた」という充実感や達成感を子どもにもたらします。
 子どもをそこまでにできるのは、忍耐とやる気さえあれば、だれにでもできます。これは「指導技術」だからです。
 求められるのは、教師が本気かどうかだけです。教師の「ド根性」です。踏ん張りといっていいかもしれません。
 教師自身が子どもをいついつまでにこういうレベルには持っていきたいという「目標」を明確にして、「やりきる」「やらせきる」のかかわりをつづけていく。
 その決意さえあれば、子どもたちはどんどん変わっていきます。
(原田隆史:1960年生まれ 20年間大阪市公立中学校教師、教師塾主宰等を経て原田教育研究所社長。元埼玉県教育委員、高知市教育アドバイザー、三重県政策アドバイザー、奈良市教育スーパーバイザーも務める。ビジネス・ブレークスルー大学教授。大阪市立松虫中学校を態度教育・価値観教育・自立型人間育成教育により建て直し、陸上競技では7年間で13回の日本一を達成した)

 

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