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教師は子どもに「ベストな姿」のイメージ持たせ、気づかせることが非常に大事

 人間は、自分のベストの姿をイメージして、そこに向けてどのようにマネージしていくか、という能力が必要である。
 学習能力のない人は、絶対に一流にはなれない。同じ失敗を平気で繰り返すからね。ミスを知らない名選手はいないし、負けた悔しさを知らない勝利者はいない。
 でも、努力をしない天才もいないんだ。努力なしに素晴らしい勝利や感動は絶対に得られない。
 だから、そういうことに気づかせてやれるかどうかが指導者は非常に大事なんだ。
 言葉で言って、それがそのままその人の力になるんなら苦労しないよ。
 そこで大切なのがイメージなんだ。
「どうしてやったら、その本人にとってベストなのか、同時に周りの人間にも喜んでもらえる存在になれるのか」
 という青写真を指導者がきちっと自分のなかに焼き付けないと、現実からかけはなれた指導をしてしまうことになる。
 本当に「この子にこうなってほしい」というイメージがあれば、おのずとわかるはずなんだ。わからないというのは、愛情が足りないんだよ。
 何でもやってやるのが愛情なのではない。子どもを信じて、任せる。
 自分で気づくことができるまで、追い込んでやる。
 そういう気持ちが、本当の愛だと思うよ。
 やっぱり、「どんな自分がすてきなのか」ということは、子どもたちみんなは、わかっているんだよ。
 そういう「すてきな自分」に出会えるように誘ってやるのが、その子に関わる人間の責任であり、使命だろう。
 教育において強制される時期があって当然だし、それなくしてははじめから終わりまで自由にさせて、本当に社会に必要な人間になれるのかなっていう気はするね。
 何をしていいか、わからない子にはきちんと目的を与えてやらせる。目的がはっきりしていれば、「これさえやれば、こうなるんだ」とう意識につながっていくんだ。
 逆に、自分の目的に向かって自主的に取り組んでいけるような子は、そのまま見守ってやればいい。そういう子は、何かのときにちょっと手をさしのべてやるだけでグーンと伸びるからね、後からポンと押してやるだけで。
 その意味でも、イメージを与えてやることが大切なんだ。
「おまえ、こうなったらいいな」とか「がんばったら絶対日本代表になれるぞ」というように、夢を語ってやったり、目標を語ってやる。
 そういうイメージをその子のなかにぼやっとわかせてやるわけ。それも、個々に全然違うイメージをね。
 そう言いつづけていくと、本人もだんだんそう思っていくんだよ。
 そのなかで、徐々にイメージが鮮明になっていく。
 そうなれば、どんどん自分からそのイメージに近づこうとするようになるんだ。
 そのためには何が必要か自分で考えるようになるんだよ。
「やらされてる」のか、それとも「自分でやっている」のか、子どもにどう思わせるのかというのは非常に大事なことなんだ。
 教育に限らず、どんなことでもそうだけど、やっぱり「こういう人になってほしい」とか「こういうチームをつくりたい」というイメージやビジョンを描けない指導者やリーダーは、人を育てることができないんじゃないかなと思うけどね。
 そこでもうひとつ大切なのが、それぞれの段階、段階で「よし、いいぞ」って、きちんとほめてやること。評価してやることだ。そういう達成感の喜びがなかったら絶対ダメだね。
 もちろん、怒ったあとには、ちゃんとアフターケアーをしてやることは言うまでもない。
(山口良治:1943年福井県生まれ、ラグビー指導者で元日本代表。高校教師として京都の無名の公立高校をラグビーで全国制覇させた。ラグビー部生徒への体当たりの指導が多くの反響を呼び、TVドラマ『スクール☆ウォーズ』の主人公のモデルとなった)

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