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ミニネタで子どもの心つかむ授業とは、どのようなもでしょうか

 子どもたちの関心を引きつけ、理解を深めるための小道具やアイデアを、土作彰先生はミニネタと呼ぶ。
 ミニネタで授業が脱線していくように見えて、巧みに本題への導入になっている。土作彰の授業の真骨頂だ。
 土作彰先生は、話がおもしろく、たたみかけ、ボケつっこみでひきつける。
 面白いだけではなく、しっかりとした理論に基づいていて知的である。かなりの博識だ。
 教材開発、教材発掘に余念がなく、常に新しいもの、おもしろいものを探している。
 例えば、6年生の社会科の授業で、奈良時代を終えた次の社会科の授業に、大仏マスクをかぶって教室に入っていきました。
 騒然となった教室の雰囲気を、しばしマスクをかぶったまま見回してみます。その不気味さに騒然となります。
 次にいきなりクイズを出します。
「私はだれでしょう?」(→大仏)
「何時代に建てられたでしょう?」(→奈良時代)
「誰が建てたのでしょう」(→聖武天皇)
 などというふうにです。
 その他にも、先生が臓器の位置を描いた手作りTシャツを着たり、血液に反応すると青白く光る薬品を使った実験をしたり、手持ちのネタは200以上。
 先生たちの研究会の代表も務める。
「授業のスパイスですね。物事を少し違った角度からとらえることで、発問のきっかけになるんです」
 教室の雰囲気づくりや、集中力の持続にも一役買っている。
 6年1組の理科の授業が始まった。
 先生が、水滴が光る葉っぱの拡大写真を黒板に張る。
先生「カラーコピーに70円もかかりました」
 資料一つ示すにも、必ず子どもの笑いをとるのが土作流。笑いの後が本題だ。
 先生が植物の光合成の仕組みに触れた後に、問いかける。
先生「さて葉っぱは、なんで緑色なんやろ?」
 6年1組の29人は一瞬きょとんとしたが、すぐに手が挙がった。
子ども「葉っぱが日焼けしているから」
子ども「気温が高いと、緑色になると思う」
子ども「炭素を吸ったから」
 先生はその発言をひとつひとつ「なるほど」「確かにそうかもしれん」と引き取っていく。
子ども「日光にあたっているから」
 という発言の後、ひとりの男の子が「反論、は・ん・ろーん」と立ち上がった。
子ども「じゃあ、僕らも緑色になるんか」
 教室が笑いに包まれた。
先生「では、虹を見たことがある人?」
 いよいよミニネタが始まったようだ。一斉に手が挙がる。
 虹の写真のコピーを全員に配り「虹は、どういう時に見えるかな?」と尋ねる。
 先生が「雨上がり(水滴)」「日光(光源)」「適度な暗さ」「見る方向」といった条件を確認し、日光が水滴で屈折・反射し、元々持っている7色の光に分かれて見えることを説明した。
先生「じゃあ、虹を見に行こう」
子ども「えーっ」と歓声があがる。
 人工虹を観察できる「虹ビーズ」を黒い画用紙に張りつけて作った「虹シート」を持って隣の教室へ。
 このシートに光を当てると、虹のような光の帯が観察できるのだ。
 カーテンを閉めた暗い部屋の壁に張って、ライトをあてる。
 4、5人ずつ教室に入った子どもたちは、
子ども「おーっ、見えた、見えた」「きれい」「見えるで。ここ、ここ」。また歓声だ。
 再び6年1組の教室へ。
先生「話を戻します。葉っぱは、なぜ緑色なのか?」
 まとめに入ったようだ。
 虹で見た7色のうち、葉っぱは光合成のために赤色と青色の光を吸収していることを示すグラフを引用しながら、
先生「実は、葉っぱは緑色がほしくないんやね。緑色の光をはね返しているから、僕たちの目には緑色に見える」
 自然界が持つ色について「なんでやろ」と考えるきっかけになれば、この日は十分。
 葉緑素という言葉は使わなかった。
 終わり際、先生が言った。
先生「梅雨が明けたら、花壇の水やりのシャワーで虹を見てみような」
(土作 彰:1965年大阪府生まれ、奈良県公立小学校教師。授業のネタを収集、何かが足りないと気づき、深澤久氏の学級を参観し衝撃を受け教師に必要な哲学を研究。
 学級経営を成功させるには「教える」「繋げる」「育てる」によって、知的に楽しくビシッとしまる「学級づくりの3D理論」を提唱し実践している。日本教育ミニネタ研究会代表、学級づくり改革セミナー主催)

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