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子どもが興味を持つ教材をさぐる方法と、実際どのような教材で子どもが興味を示したか

 子どもたちは、一人ひとり、その子なりの興味(教材)をもっている。しかし、普通の状態では外から見えない。
 それが、何か物を見せたりすると、子どもがどんな興味(教材)をもっているか見えてくる。
 そのために、調査という名で、予備の教材を子どもにぶつけてみて、その反応をさぐる方法がある。
 子どもが動き出すか動かないか、動く場合、どんな動き方をするか、などをさぐって、子どもの中にどんな興味(教材)があるか推測するのである。
 また、ふだんの生活、特に遊びなどを注意して見たり、他の教科の授業をしているとき、子どもの興味・関心・欲求などが、どのへんにあるかさぐるのである。
 この意味で、授業は次の授業のための調査の時間、実態さぐりの時間でもある。
 どんな教材(ネタ)で子どもは実際に動くのでしょうか。
 授業で生きる教材(ネタ)開発の視点は、
(1)固定観念をひっくり返す
(2)思考のあいまいさをつく
(3)子どもの意表をつく
(4)教材と新鮮な出会いをさせる
(5)事実を確かに見させる
 などである。
 これによって、子どもに「驚き・困惑・葛藤・感動」を引きおこさせ、切実な問題をもたせるようにするのである。
 子どもを動かすことができたネタを分類すると、次のようになる。
(1)「実物」を教材(ネタ)にして導入
 特に社会科に弱い子ども、嫌いな子どもを引きつけ、積極的に学習させるのに効果がある。
(例) 長さ3mのさとうきび17本を教室に持ち込む。「どうして、みんな同じところで曲がっているの?」から沖縄地方の人々のくらしを追究する問題が出てくる。
(例)「これは、日本の重要な産業をあらわしています」といって、「五円玉」を配る。子どもは「まさか」と五円玉を必死でみる。
 五円玉は農業、工業、水産業をあらわしていることがわかり、社会科の学習の導入ができる。
(2)「意表をつく発問」を教材(ネタ)にして導入
 教材研究は、発問の「キーワードさがし」ともいえる。高学年になるほど効果的で、おもしろい問題を引き出すことができる。
(例)「小学生のみなさんは、税金をはらっているでしょうか?」「この学校には、便器の数は何個あるでしょうか」等、子どもの意表をつく発問で切り込むことがある。
(3)「絵・図・統計資料」を教材(ネタ)にしての導入
 子どもに絵などを見せて問いかける。ときには実物以上の効果をあげることができる。
(例)長篠の戦の絵、源氏物語の絵巻、統計「富士山が見える日」
(4)「構成活動やごっこ活動」を教材(ネタ)にしての導入
 低学年の「店づくり」「パンづくり」「バスごっこ」などの単元では、構成活動やごっこ活動を通して問いを深め、エネルギッシュな追究活動ができる。
(5)「体験活動」を教材(ネタ)にして問題を発見させる
 この方法は、時間はかかるが、学習問題も、追究も、子ども自身のものになり、学習意欲も高めることができる。
(例)「みかんづくり」の見学や「パンづくり」で本当にパンづくりを体験させるなかで問題を発見できる。
(6)「物語・民話・童謡・民謡」を教材(ネタ)にしての導入
「一寸法師」で戦国時代の様子や、「づいずいずっころばし」の歌で、江戸時代の身分制度や世の中のしくみを追究させたり、「お江戸日本橋」の歌で、江戸時代の旅の様子をクローズアップしたりした。
(7)「子どものアイディア」を教材(ネタ)にしての導入
 たとえば、伝統工芸の学習中、子どもが人間国宝にインタビューしてきて、それを発表しながら授業を進めたことがある。
(有田和正:1935-2014年、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)

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