授業でどの子どももできるように机間指導するときの「○つけ法」とは
愛知教育大学教授である志水廣先生が開発された「○付け法」とはどのようなものでしょうか。
教師が授業中に「できた子どもからノートを持っておいで」という指示は、できない子どもはノートをもっていくことができません。
教師が本当に手立てをしたい子どもは、できない子どもだと考えます。
「○付け法」は机間指導して、どの子どもにも手立てできるようにと教師が働きかけるのです。
「○付け法」とは、子どもが問題に取り組んでいるときに、教師が机間指導して、解決過程や結果に対して、ノートに○をつけていく方法です。
即時評価し指導するのが基本です。
○をつけるが×はつけない。
教室の空気が一気によくなりやる気になります。
ポイントはスピード、声かけです。
ノート等に問題を解く場面や気づいたことをかかせる場面で、子ども一人ひとりに対して、赤色で○をつけていく方法です。
教師が子どもの机を回り、○つけ、声かけ等の支援を行いながら、全員の反応を把握していきます。
子どもに〇をあげる、言い換えれば、子どもを〇にして学校から帰すのが教師の役割です。
子どもを×にして、×の思いを持たせて帰してはなりません。
このことを全国の教師に対して訴えたいのです。
志水式「○つけ法」の精神は、子ども全員が「わかる」「できる」授業を保障することである。
子ども一人一人に対して赤色で○をつけていく方法である。誤答に○はつけない。
目標は全員に○をつけることである。「できる」ことの保障である。
○つけ法は指導と評価が一体化する技法である。
授業の導入で、復習や適用題の場面では30人3分間で○つけすることが可能である。
自力解決問題では7分間で30人の○つけを目標とする。
〇つけのスピードは、正答だと一人5秒,誤答だと一人15秒の声かけが目標である。
一人に30秒以上の個別指導をすると授業の集団が壊れます。
声かけは重要で、声は大きく教室中に広げる。
子どもの実態はデジカメのように記憶し把握する。
○つけ法のよさは、子どもの立場からは達成感,称賛が得られる。
教師の立場からは、つまずきに即時指導すると、教室の空気が一気によくなる。やる気になる。
〇つけ法の前提条件として、9割の子どもが解決への見通しを持っていること。
○つけ法の練習は,適用題や復習題からやってみる。スピードがついたら自力解決問題に挑戦してみるとよい。
適用題とは,問題解決の方法を知っている状態である。例えば,筆算のひき算の手順をあてはめていって解決していく。つまり「わかる」の段階は済んでいて「できる」「身につける」ことにねらいがある。
自力解決問題では問題解決の方法はわかっていない。各自の解決の見通しにしたがって,解決していくことになる。
それは,成功する場合もあれば,失敗する場合もある。これらをぱっと見て判断して、助言の声かけを出していく。
自力解決問題での○つけ法は、見通しが正解になっているかどうかを確認し、○つけする。この方法で9割の子どもが見通しを持つように高める。
とりあえず3分間頑張って○つけ法をして,その時点で,○つけ法を続行するか,一斉指導に戻すかを判断する。
○つけ法がしやすい場所を視覚的に特定しておく。
(志水 廣:1952年神戸市に生まれ、神戸市公立小学校教師、筑波大学附属小学校教師を経て愛知教育大学教授。 大学で学部生に算数・数学教育の教鞭をとる傍ら、各地の小学校・中学校のコンサルティングをし、各地の算数・数学の研究会の指導にあたっている。また、授業力アップのための教師塾を開催している)
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