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現場教師として困難を何とか乗り切ってこられた私の考え方と、教師が元気に生活を送る原則とは

 小学校の教師生活は分刻みの生活です。私が現場教師として心がけていたのは、つぎのような動きです。
 「よく見る」「それが何かと考える」「打つ手を処方する」「行動する」
 しかも、瞬時に考え、動くものですから、よく失敗もしました。これが私にとって「現場を生きる」ということでした。
「行動する」ことが現場教師であると私は考えます。失敗を恐れないことです。失敗すれば「ごめん、ごめん、間違いました。これから気をつけます」と礼を尽くしてあやまればいいのです。
 楽しそうに教師生活をおくる教師もいれば、いつも不平不満を口にして過ごす教師がいます。
 その違いは、教育の仕事を、どのような考え方で行っているかどうかに、かかっていると私は思います。
 元気に教師生活をおくるためには、考え方をきちんと持っていることが一番大事なことなのです。
 私は37年間の教師生活で、一度も教師を辞めたいという気持ちになることはありませんでした。
 私は悩まないようにしていました。
 悩みのほとんどは時間が解決してくれます。
 悩まないようにするには、行動することです。
 悩んでいないで、次をどうしていこうかと、考えのベクトルを変えていきます。
 現場の教師のみなさんは、できるかぎり機嫌良く仕事をしていただきたいと私は願っています。
 機嫌よく仕事をしている教師のそばにいると、自分も機嫌良く何かをしたくなるからです。
 もやもやした気持ちも軽くなります。
 だから、子どもたちの前でニコニコ笑ってみましょう。
 教師が機嫌よく振る舞い、
「心身がアクティブであることは、気持ちがいい」
 ということを自分自身が素材となって子どもたちに示し、伝えてほしいと思います。
 振り返ってみると、私はテーマを持って教師生活をしていました。
 自分の気になることをテーマしました。
 例えば、子どもたちへの音読指導をどうしたらよいか。漢字指導の効果的な方法など。これらのことについてコツコツと資料を集め、自分なりにまとめていくと、教師生活は豊かになります。
 私は教師としての資質を高めるために、もっとも大事なのは土台となるスタンスであると考えています。
 このスタンスは、仕事へ向かう姿勢や態度を意味します。
「素直さ」「責任感」「向上心」
 がスタンスになると考えています。
 このスタンスの上に、その教師がもつ「性格」(キャラクター)がのるのです。
 そして、その上に、教育技術がのっかる。
 ここをカン違いしないことです。教育技術だけをどんなに積み重ねても、しょせん限界があることを、心してほしいと思います。
 教師が元気に生活を送る原則は、次の四つである。
(1)自分が発揮できる
(2)他の人から認められる
(3)無理をしない
(4)知りたいこと、やりたいことができる
 テーマを持って教育の仕事をしなくては、これから大変ですよ。その日暮らしの生活は、これからとてもつらくなりますよと、いう言葉を含んでいます。
 大切なのは、教師の時間と自分の時間をきちんと区別することである。
 教師としての時間を長く取ることによって、確かに教師意識は増大する。しかし、やせ細っていくのが人間としての自分だ。
 教師の仕事とは別に、音楽も聴きたいし、映画も見たい。教育に関係のない本も読みたいし、友だちと旅行もいきたいではないか。
 ふつうの働き人が元気に生活をしていくには、きちんと仕事の時間と、自分の時間を区別する必要がある。
 私は、いつもそのように思っている。
(野中信行:1947年生まれ、元横浜市立公立小学校教師、横浜市の初任者教師の指導にあたり、全国各地で教師向けの講座やセミナーを行っている)

 

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