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教育界に大きな影響を与えた大正自由主義教育「分団式教育法」とは、どのようなものであったか

 及川平治は、 明石女子師範附属小学校(1907年着任)を舞台として「分団式教育法」などを提唱した。
 明石附属小学校は、
「子どもたちが、自分から進んで学ぶ学校とし、子どもの多様性と個性を生かし、真理の探究法を授ける」
 という方針を立てました。
 この当時は、先生が子どもたちに知識を教え込む授業が多かった。
 及川は明石附属小学校に「分団式動的教育法」という、子どもたちが「自ら学んでいくグループ学習」や「教え合い学習」「体験学習」等を取り入れました。
 この教育法は、今では一般的ですが、当時としては大変先進的な授業であった。
 その反響は大きく、及川の授業を見学しようと全国各地から、年に一万人を超えるほどの参観者が訪れました。
「やってみたい、できるようになりたい」という子どもたちの気持ちを満たしながら、試行錯誤を繰り返させる及川の授業づくりに、参観者の多くが感心しました。
 及川が掲げた教育方針は「児童本位の教育」と称され、児童の「直接経験」を尊び、児童自身の「判断」に訴える教育を施すことが謳われた。
 及川は「子どもの要求=学習動機」こそが、教育の出発点だとした。
「生活体験」を通じて知識や技能を習得させようとの考え方であった。
 及川は、1875(明治8)年に宮城県で貧しい農家の次男として生まれ、苦学して教師となった。
 明治末年から大正、昭和10年代初期まで、兵庫県明石女子師範学校附属小学校で「万年主事」として初等教育の現場で教育改革に挑み続けた。
 及川の教育方法論は、日々の豊富な読書による国内外の教育思想の研究を基礎に構築されていた。
 それを支えていたのは附属小学校の教師・児童、保護者・地域社会、家族であった。
 彼をそうさせたのは及川の人間としての「人柄」にあった。
 及川が附属小学校主事として着任した明治末期には、我が国では「ヘルバルト主義教授法」の形式化、形骸化が顕在化していた。
 学校教育の内実は「人間不在の教育」であった。
 明治30年代から末にかけ、多くの教育改革思想が提唱された。
 及川は、国内外の教育思想を咀嚼し、より実践的な教育方法論の形成に努力した。
 教育理論を説いただけでなく、具体的な教育法も同時に提起した。
 及川の教育方法論と教育実践は、明治・大正・昭和の約40年にわたって展開された。
 最初の段階は、ヘルバルト派の画一的注入教授を克服するための「教育方法」が中心であった。
 1909(明治42)年の「為さしむる主義による、分団式教授法」の提唱である。
 この構想と試みは「分団式動的教育法」「分団式各科動的教育法」(1915)で著わされた。
 これらの著作は当時のベストセラーとなり、明石女子師範学校附属小学校は参観者であふれ、大正前期の教育界に大きな影響を与えた。
 及川の提唱した「分団式動的教育法」は、
(1)教育の動的見地に立つこと
(2)児童の能力不同という事実的見地に立つこと
(3)学習法(研究法)を訓練するという立場に立つこと
 という主張に立脚したものであった。
 彼は文部省の要請により 1 年 4 カ月間、 欧米の教育視察にも赴いている。
 欧米教育視察によって、世界の教育改革運動に触れた及川は、真の動的教育を行うには「カリキュラムの改造」が必要という見解に達した。
 帰国後は、研究対象を「カリキュラム論」に改め、実践的な研究に取り組んだ。
 及川の主張は一貫して「生活と学習との統一的結合」の観点で貫かれた。
 わが国の「個性」を生かす教育の原点は、明治末期からである。
 及川の「分団式動的教育法」は、児童の能力や特性の違いに応じた学習活動を展開した。
 及川の「個性」を生かす授業とは、教授=学習過程を一元化させる立場から、児童の自己活動を重視し、教師を実践者として授業の構成力を要求した。
 形式主義を批判し「指導の個別化・学習の個性化」をねらい、学級の全員がわかる授業をするという理念を念頭に構想された。
 及川の教育方法論と明石女子師範学校附属小学校の「個性」を生かす授業の実践は、大きな遺産となった。
 及川は、大正自由教育運動の先駆者、日本のデューイと評価されている。
(及川平治:1875-1939年、宮城県生まれ、明治末年から昭和10年代初期まで兵庫県明石女子師範学校附属小学校で主事として教育改革に挑み、わが国教育の発展に多大な功績を残した教育家の一人である)

 

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