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優れた授業にするためには、具体的にどうすればよいのでしょうか

 すぐれた授業行為は、すぐれた教育技術に貫かれている。すぐれた教育技術は、すぐれた教育思想に基づいているのである。
 同じ教材で、同じ方法で授業をしても、人によって授業が異なるのは、力量の違いというより、教師の本質の違いであることが多い。
 まさに「教育は人なり」である。教師の本質とは、これまでの人生、個性・人生観の総和でもある。
 すぐれた教育思想は、その教師の人生によって培われた人生観の教育への照り返しである。
 すぐれた教育思想があれば、すぐれた授業が行われるというものではない。思想と行為の間には、大きな落差がある。
 すぐれた教育思想とは、
(1)教師はすべての子どもの可能性を信頼すること。子どもの個性、力量をよりどころとすべきである。
(2)教師はすべての責任をまず自分自身に帰すべきである。教師は絶え間なく反省し、常に修業し学び続けるべきである。
(3)教師はすべての子どもに生きていく勇気を与え、生きぬいていく知識と知恵と技を育てなければならない。
 授業が良いか悪いかの判断は、つぎの問いを自分自身に向けるのである
(1)子どもを本当に信頼しているといえるか
(2)本当に育てていると言えるか
(3)本当にすべての子どもを対象としているか
 教師のすぐれた授業中の行為は
(1)子どもの力をひき出す
(2)子どもに知識や技を教える
(3)子どもに知的興奮を与える
(4)子どもを包み込む
 教師は、子どもをやる気にさせ、自分から挑戦させ、追求させるようにしなくてはならない。
 すぐれた授業の具体的な授業行為は、
(1)教える内容が明快
 すぐれた授業は、教える内容が明快である。
 話しは整理され、短く明快に。文章は読みやすく、分かりやすい。
(2)教え方のポイントをふまえている
 教師はつまらない下手な説明をやめよ。問いと指示を出し、子ども自身に考えさせよ。
(3)発問の目線を低く
 目線が低い発問は、易しい問題だ。ゆっくりやると授業が濁り、だれる。
 だから、テンポを速くするのである。そして「変化のあるくり返し」して、たたみこんでいく。
 そして、一気に、本質の、むずかしい問題へ飛躍するのである。
(4)授業はリズムよく
 教師はできる限り明確な、よけいな言葉のない話し方をせよ。
 発問と作業指示が明確ないい方をせよ。
 授業のリズムをこわす原因は、一つひとつの指示、発問、解説が長すぎることだ。
 どうして、長くなるのか。よけいな言葉をつけ加えるからだ。発問は何を聞いているのか、どうするのかはっきりしない。               
 スッキリとした、明快な言葉つかいを教師はすべきなのである。
 指示はつぎのように、動きを生き生きとすること。
(1)指示・発問は短く限定してのべよ
 限定して、語尾をにごらせてはいけない。
(2)子どもが変化する言葉が必要
 どういう言葉によって子どもが変化するかは、自分でやってみるのが一番良い。それが身につけていく基本である。
 自分自身が苦労した体験がないと「言葉だけ」を知っても、身につかないのである。
(3)一度動き出した集団を、追加修正で変更させることは、よほどのことがないかぎりしてはいけない。
 一つの指示をして、子どもが動き出したら、修正してはいけない。クラスがぐちゃぐちゃになってしまうからである。
(4)まず、たった一つの明確な指示を与えよ。それができたのを確かめてから、第二のたった一つの明確な指示を与えよ。
 これを身につけるのは容易ではない。私は10年かかった。言葉を知ることと技術の習得は別である。
(5)指示の意味を短く語る
 10分も20分も指示の意味を語ったら、聞いてる方もだらけてきてしまう。
 たとえば「教室をきれいにします。ゴミを10個ひろいなさい」この程度でいい。
 短く、スパッと言うのがいい。こういう一言こそが、子どもを育てていく。
 子どもを動かす秘訣は「最後の行動まで示してから、子どもを動かせ」に尽きる。
「最後までどうやっていくか」ということが分からないから、子どもは場当たり的に行動するのである。
 子どもを動かす法則を補足すると
(1)何をするのか端的に説明せよ
(2)どれだけやるのか具体的に示せ
(3)終わったら何をするのか指示をせよ
(4)質問は一通り説明してから受けよ
(5)個別の場面をとりあげほめよ
 子どもを動かすのは、教師の人格と技術である。
 感性の鋭い子どもを動かすには、子どもを深く理解しようとする意欲を持つ教師の人柄と関係する。
 子どもを動かす技術の習得には年数がかかる高級な技術である。
(向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる。著作多数)

 

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