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読み聞かせ合う学級づくりと、私の実践の根を太くしてくれたこととは

 石川 晋さんは、学生時代から教育系のサークル活動に取り組み、自信を胸に教壇に立ちました。
 しかし、初めて授業を持った中学校三年生の教室は、授業にならなかった。
 立ち歩き、授業妨害、トランプをする、「談笑」しつづける、激しく反抗し、時には机を投げつける。
 担任の先生が、何度も家庭訪問をしてくださるが、状況は好転しない。くやしさとみじめさに身の置き場もなかった。
 最後に教室に持ち込んだもの、それが「絵本」だった。半ばやけくそであった、と思う。
 石川さんがこの時、教室に持ち込んだ絵本、それは『急行「北極号」』(河出書房新社)である。ゆっくり読むと15分以上かかる作品だ。
 教室の前の席に座り、絵本のカヴァーをはずし、おもむろに読み始める。
 生徒はいつものように立ち歩きしているが、もうお構いなし。ひたすらただ読む。
 するとナント、立ち歩きしている男子たちがいつのまにか、読んでいるぼくの前に座って聞いているではないか。
 最初の5分で、騒然とした学級が静かになった。
 ふだんは大騒ぎをする男子生徒が、かぶりつきで読み聞かせを受けた。
 読み終わると拍手が…。
「石川、こういうんならまたやってもいいぞ」とかぶりつきの生徒がいった。その場面を今でもはっきりと覚えている。
 さらに「物語」の読み聞かせをしようと考えたきっかけは、大西忠治氏の文章との出会いである。
「読み聞かせの継続が教師を鍛える」というその文章に大変引きつけられた。
 今まで読んだ物語の中で、圧倒的な支持を得たのは、森絵都『宇宙のみなしご』(講談社)である。
 出会った時「あ、これだ」と思った。
 読みながら、夜ごと屋根に登る少年たちの姿が目に浮かんでくる。
 毎日五分間ずつ国語の授業の最後に読み聞かせた。生徒には大好評であった。
 教師には、学級づくりや授業づくりの中で伝えたいメッセージがある。
 でも、それが生徒の中になかなか通っていかない。
 しかし「読み聞かせ」で絵本や物語をはさみこめば、伝えたい内容が伝えたい相手に届くまでに「緩衝物」が入る。
 柔らかく教師からのメッセージを伝えることができる。
 強圧的な指導に従わない生徒の心に届く理由があるようだ。
 しかも、生徒も教師も気持がいい。本当に読み聞かせはすぐれた手法なのだ。
 生徒の誕生日には、仲の良い友達からの手紙を学級通信に載せることにした。
 本人から朝の会で直接読んでもらう。読む方も聞く方も照れくさい。
 だが、本人の肉声によって初めて伝わるものがある。ことばが輝いている。
「絵本」の読み聞かせも、生徒同士でさせたい。
「読み聞かせ合う」ことで、「聞き手」への関心が広がる。
 聞き手への関心の広がりが関わり合いの心を育てていく。
「読み聞かせ」は人生を豊かにし、人と人とをつなぐアイテムにもなるのだ。
 好きな絵本を読んで聞かせることの素晴らしさを体験した生徒は、大人になった時、きっと絵本を自分の子供達にも読んであげたいと願うはずだ。
 私は、教師になった当初は、向山洋一さんの法則化運動の影響を受けて、授業記録を書きつづりました。
 授業をいくつかに区切り、教師や生徒の発言や所作を克明に記録して、自分の分析を加えるという形式でした。
 それをサークルに配布して意見をいただくことを繰り返したことは、自分の授業力向上のために決定的な役割を果たしたと断言できます。
 書くことと並んで重要なことは、読むこと、聴くこと、対話すること、そして楽しむことでした。
 教師になってからは、教育書、詩集、絵本などを一生懸命読みました。何しろ私は「読み聞かせ教師」でしたので、教室でも絵本や物語をたくさん読み聞かせしていました。
 音楽はクラシックから洋楽、邦楽なんでも聴いていました。苦しいときに、自分を助けてくれたのは、ちょっとしたユーモアや笑顔と、すてきな音楽だったと思います。
 そして、とにかくたくさんの人と「対話」してきました。様々な市民運動に参加して、直接、学校教育とはかかわらない様々な職種の人たちと、いろんな話をしてきたことが、教師になって10年を過ぎたことから、教室に役立つようになってきました。
 楽しさをベースにした、書く、読む、聴く、対話する、楽しむといった営みが、知らず知らずのうちに、私の実践の根を太くしてくれたのではと思います。
(石川 晋:1967年北海道生まれ、北海道公立中学校教師。NPO法人授業づくりネットワーク理事長。教科指導と学級経営の連動を意識した読み聞かせ活動を展開中。また、教師の学びの場づくりを精力的に展開中である)

 

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