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子どもだけでなく、大人のほうもイライラし、キレる人が増えている、どうすれば防げるのでしょうか

 前橋 明(早稲田大学)教授は、子どもの疲労と体温・運動,乳幼児の生活リズム等について研究している。前橋教授は、次のように述べています。
 確かにキレやすくなっているように思います。
 子どもだけでなく、大人のほうもイライラしている人が増えて、簡単にキレて、犯罪に結びつくことも多くなったと思いますね。
 その原因というのは、いろいろ考えられるんですけれども、現代の生活リズムというものが、人間が本来持っている体のリズムと合わなくなってきている。
 そして、その歪みがいろいろな問題を引き起こしていると思っています。
 生活リズムの乱れが、キレる子どもや大人をつくります。
 動物というのは、太陽が昇ったら起きて活動して、日が沈んだら眠るというふうになっている。
 昼も夜もない社会になって、体の方の対応が追いつかなくなっているんですね。そのために睡眠のリズムが狂わされている。
 それから、便利になって体を使わないで済む社会になってきましたから、体にストレスがたまりやすい状況になっているのです。
 運動不足というのも、快い睡眠を妨げて不眠を招くようになります。
 食生活の方も、現代の飽食によって肥満を招き、糖尿病などの生活習慣病を生む原因にもなっています。
 つまり、キレやすい人間を生む現代の生活リズムというのは、まず「遅寝」なんですね。
「短時間睡眠」、それから「朝食の欠食」と「食事内容の悪さ」、こういったものが引き金になっています。
「早めの就寝」と「十分な睡眠時間」の確保、そして「朝食」をしっかり食べて、朝の快いスタートを心がけることが大事だと考えています。
 子どもの寝る時間が短くなっています。
 例えば、小学校に入る前の5歳くらいの幼児ですが、かつて午後8時には寝て、朝の6時には自然に起きていました。
 今は、夜10時を過ぎて寝る子が4割もいるんですね。幼児の頃から「遅寝・遅起」の習慣がついてしまっています。
 睡眠の問題が、体温とも関係してくる。
 通常、一番体温が高いのは午後3時過ぎで、非常に活動力旺盛なときです。
 ところが、遅寝・遅起の子どもは、その「体温のリズムが後ろにずれてくる」わけです。
 朝は眠っている時の低い体温で起こされることになります。機嫌は悪いですし、イライラしてきます。
 そうなってくると、学校に行こうと思っても、朝、起きれない。
 学校に行けないという状況で、不登校にも結びついたりすることも多いですね。
 体温リズムを整えて、イライラを防止しましょう。
 食生活も大事ということです。
 キレる子、イライラする子、疲れやすい子、そういう子どもたちに共通した特徴なんですけれども「食生活が乱れている」ということですね。
 こうした子どもというのは、1日のスタートの「朝食をとっていない」ということがあります。
 私の調査では、幼児の約15%が欠食しています。
 一方で、85%の子どもたちは、毎日朝ごはんを食べているかというとそうではないようです。
 うんちの状況を見てみますと、朝うんちをしているのは2割程度しかいないんですね。
 食べても菓子パン程度の朝食のようです。
 それでは、うんちの重さや体積といったものは作れないですから、排便にはなかなか至らないのです。
 朝って慌しいかもしれませんけども、食事というのは体のためにも大事です。
 食事というのは栄養素の補給という点で、もちろん重要なんですけれども「家族のコミュニケーションを図る」絶好の機会なんですね。
 心の栄養補給もしてくれるわけです。食という字は、「人に良い」と書きますよね。
 人を良くすることを育む貴重な機会なんですね。
 それから、食の場面でも、朝食をとらず、夜は一人で簡単な食事で済ます孤独な食事をしている「孤食」。
 家族一人ひとりが自分の好きなものばかりを食べて、勝手な食事をする「個食」など。
 そういったものが「子どもたちの心の居場所をなくし」て、ささいなことでキレて心を乱す子どもを作り出しているんではないかなと思っています。
「一家団欒のある食卓」がキレる子どもをつくらない。
 キレる子どもと運動について考えてみます。
 最近は場所もないせいか、外で遊ぶという子どもも減りましたよね。
 遊びという「空間」「仲間」「時間という3つの「間」が、子どもの遊びの世界から、かなり減っているように思っています。
 遊びの減少が進むにしたがって、気になるのは子どもたちの大脳、つまり理性をコントロールし社会性を育てて、高いレベルの心をつくるという、脳の前頭葉の働きが弱くなっているということなんです。
 遊びのための3つの「間」がなくなると、頭の働きも悪くなる。
 たとえば、鬼ごっこで、友達から追いかけられて必死で逃げ、対応策を考えて試みたりしますよね。
 そういう時に、子どもたちの交感神経は高まっていくんです。
 そういう体験こそが、大脳の中にフィードバックされていって、脳の働きや活動水準をより高めて、思いやりの心や、将来展望の持てる人間らしさが育っていくんです。
 遊びとしては「体を使った遊び」がいいと思うんですよね。
 生きる力の土台となる自律神経を育てて、大脳の活動水準を高める「戸外での遊び」ですね。
 鬼ごっこやかくれんぼ等の遊びがありますけれども、これは、安全な緊急事態が備わっている、ワクワクドキドキする運動遊びなんですね。
 こういった心臓がドキドキして汗をかく、友達とかかわる、戸外での運動ということがとてもいい遊びだと考えています。
 友だちと外で遊ぶことが人間らしさを育てます。
 前橋教授は、大学で教鞭をとるかたわら「ふれあい体操」を全国に広げる活動を積極的に行っている。
 先生は「親と子が、いっしょに体を動かすことを続ければ、子どもたちは、夜は早い時間からぐっすり眠り、朝はおなかがすいて食事をしっかりとるようになるので、生活リズムを正しくたもつことができ、低体温などにならないためにも有効」とおっしゃいます。
 体操は道具も広い場所も必要なく、ちょっとしたスペースでお互いの体重を貸し借りして行います。
 なんといってもお父さんやお母さんが自分のために遊んでくれるという、子どもを楽しい気持ちにさせるコミュニケーションの機会にもなります。
 今の日本の子どもが抱えている学力低下、体力低下、心の問題といった様々な問題を解決・予防する方法のひとつとして、小さい頃からのふれあい体操が位置づけられるのではないかと考えています。
 親と一緒に体操する子どもは、心の居場所もあるし、体を動かすことで体力づくり、また想像力の育成にもつながると思います。
(前橋 明:早稲田大学人間科学部教授。大学で教鞭をとるかたわら「ふれあい体操」を全国に広げる活動を行っている。日本幼児体育学会会長、日本幼少児健康教育学会副会長)

 

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