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学級崩壊を起こす教師、起こさない教師とは

 東京成徳大学の深谷昌志名誉教授は、
「教師にだって問題はあるのです」
「学級崩壊を引き起こしてしまった先生に言えるのは、几帳面で内気で、表現の下手な先生が多いのです」
「私は、昭和期の名門校長である島村小学校斎藤喜博校長が『先生は役者であれ』と言ったように、教室は舞台であって、教師は魅力的に演じてほしい」と述べています。
 学校の教育現場の校長(奈良県公立小学校長)からは、
「教師の力量が荒れにからんでいる」
「力量のある先生は学級崩壊を起こすことが少ないと思います」
「子ども一人ひとりの気持ちがわかる先生、子どもとの集団活動に力量のある先生は学級崩壊させることが少ない」
「教師にとって、子どもの扱いというものは名人芸的なところがあって、ときどきの名人芸でこうやればという、ひらめきが要求される」
「あるやり方で、そのとき、やってうまくいけるときと、そうでないときがある」
「そういう意味で、われわれ教師にとっては、力量をある程度育ててきても、どんな場合でも学級崩壊を起こさないかといったら、そうではない」
「子どもたち一人ひとりのフォローができている学校は荒れないという話しがある」
「荒れてない学校では、圧倒的に包み込むというか、母性的な教師が多い」
 という。たとえば、
(1)小学校高学年
 小学校高学年の子どもの反抗は、担任に対する甘えともとれます。
 子どもが反抗期に、一番ものの言いやすい母親に反抗するのと似ていて、やさしい学級の先生に反発していき、担任にみせつけていく。
(2)中学校
 中学校の荒れは、教科によって違っていて、やさしい教科での荒れがひどくて、こわい先生のときは、一応荒れない。
 教育社会学の視点から、秦 政春大阪大学教授は、
「子どもたちが、よってたかって教師をいじめる。これが学級崩壊だと思います」
「授業妨害があったら、まわりの子どもも授業妨害をした子どもに同調していく」
「子どもたちは、今、非常に疲れている。そういうものがなにかのきっかけで、噴き出してしまう危険性がかなりある。教師を標的に噴出してしまうことが少なくない」
 臨床心理学の視点から、深谷和子東京成徳大学教授は、
「子どもはリーダーへの『尊敬と愛着と信頼』がなければ、子どもはリーダーについていかない」
「でも、教師が学級の子どもたちから『尊敬と愛着と信頼』をかちうることはすごくたいへんなことだと思います」
「ただ、心理臨床から言いますと、人間は『自分を愛してくれる人、それから、自分の気持ちを分かってくれる人』に、愛着や信頼感を抱くと言われています」
 いかに子どもたちの気持ちを理解することができるかが、これからの「教師の力量」として大事ではないでしょうか。
(深谷 昌志:1933年東京都生まれ、教育学者、東京成徳大学名誉教授。奈良教育大学教授、放送大学教授。静岡大学教授、東京成徳大学教授を経て現職)

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