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問題を起こす小中高校生や少年院の子どもたちと接してきてわかったこととは

 魚住絹代さんは、人の成長や人格形成に関心があって、子どもの成長や子育てに関わる支援をしてきました。
 最初は幼稚園の先生からの出発でした。
 「三つ子の魂百まで」という言葉から、幼児期が大事かと思ったのです。
 魚住さんは、子どもは大好きだし、幼児期は確かに重要なのですが、小さい頃に受けた教育や子育てが、その子の人格や人生にどう影響を与えるのかを追いたくて、その後少年院の教官になりました。
 1000人を超える非行少年・少女たちとの出会いは、大きな疑問からスタートします。
 「なぜ、こんな事件を起こしたんだろう」「なぜ、そんな風に振る舞うんだろう」と。
 生活を共にする中で、必ずそこに至るだけの道筋が見えてきます。
 当然のことですが、彼らは非行少年になろうと生まれてきたわけではないのです。
 立ち直りのプロセスの中で、どの子も、ただ愛されたかった、わかってもらいたかったという思いを強くもっていました。
 それがうまく伝えられず、周囲にもうまく受け止められず、すれ違いの中で分岐点を歪んだ方向に進んでしまっていたのでした。
 彼らの立ち直りは、まさしく育ち直しでもありました。
 ですが、普通に育っていくのと違い、いったん育ってからの育ち直しは、生まれ変わるほどの試練です。
 彼ら自身「小学4年に戻りたい」「幼稚園からやり直したい」という言葉がこぼれます。
 立ち直りに寄り添う中で、育った環境と周囲の対応がいかにその子の人生に影響を与えるのかを目の当たりにしてきました。
 もっと早い段階での発見と手当ての必要を感じ、2003年より小中高の学校に活動の場を移し、困難なケースを中心に、子どもや親、教師の支援を行いました。
 学校では、不登校やひきこもり、発達の課題などからくる集団不適応、学習面のつまずき、非行、対人関係のトラブル、学級崩壊、摂食障害、リストカットなど、さまざまな問題があります。
 ですが、丁寧にひも解いていくと、必ずそこに至るだけの背景が見えてきます。
 彼らの問題行動はある意味、安心できる居場所がない、自分らしく育てていないという悲痛な叫びなのです。
 その証拠に、周囲が行動の意味を理解すると、みるみる回復していきます。
 子どもの回復にとっての第一歩は、周囲の理解と適切な対応の仕方なのです。
 それが、彼らにとって安心できる居場所につながっていきます。
 育ちに、もうひとつ大事なことは、存在価値です。
 勉強がわかる、友だちとうまくつながれるということが、自分らしく振る舞える自信となり、さらには社会で自分を生かしていくための力になっていきます。
 そのためには、何につまずいているか、どこが弱いのかを知り、丁寧にフォローアップしてあげることが重要です。
 いたずらをする子、困ったことをする子は、どうつながったらいいかわからないでもがいています。
 思春期の子どもは、言葉で「困ってる」「かまってよ」「どうしたらいいの」「助けて」と言えない分、行動で訴えてくる。
 特に激しい言葉を使い、なぜそんなことをするのか理解できないことをやる子ほど、強く求めています。
 悪さをしながら、文句を言いながら、無視しながら、拒絶しながら「この大人はこの自分にどう出るか」と、大人の出方をじっと見ている。
 口で叱るだけの大人、見て見ぬフリの大人には、「フン、どうせ」とせせら笑いながらも、さびしさの鎧に身を固めていく。
 彼らが求めているのは、本気で自分に近づいてくれる大人です。
 いくら、「どうしたの」「話してごらん」「教えてよ」と口で歩み寄ろうとしても無駄です。
 それが本気かどうかは、彼らの感性で計られています。
 数々の試しの中でようやく彼らが納得できて、はじめてつながれます。それには、とても時間がかかります。
(魚住絹代:1964年生まれ、くずは心理教育センター長。福岡、東京、京都の少年院、医療少年院で、法務教官として非行少年・少女の立ち直りを支援。退官後、大阪府の小中学校で、訪問指導アドバイザーやスクールソーシャルワーカーとして活躍。その活動は、これまで、クローズアップ現代やNHKスペシャルでも取り上げられた)

 

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