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教師になりたい学生や、若い教師に知っておいてもらいたいこと

 将来教師になりたいと考えている高校生や大学生、それから教師になって5年目までの先生方に理解してもらいたいこととは何か。
 池田 修京都橘大学教授は大学教員になる前、約20年間中学校で国語科の教師をしてきました。
 教育の現場でやってきた事実と、アカデミックな理論・哲学の両方の視点が必要だということです。
 一般的に、現場の先生が書かれた本を読むと、どうしても「教育の方法のみのHow to本」になってしまう傾向があります。
 しかし、どうしてそのHow toが必要なのかということ、つまり「その背景にある教育の理論や哲学といったものを考えなければならない」と池田教授は思うのです。
 池田教授が中学校教師になった頃は、教育の指導技術というのは、いわゆる名人芸でした。
 それがこの後何十年間に、指導方法がかなり整理されてきて、今日では、「こうすれば教師になれる」というようにマニュアル化されてしまいました。
 しかし、本来そうしたマニュアルの背景には、「このような目的を達成するため」という指導者の理論や哲学があるはずです。
 指導の技術を通して教育の哲学と理論を考えていってもらいたいと池田教授は伝えたかったのです。
 日頃、
大学で教えていて感じるのは、技術を習得すれば指導ができると学生達は勘違いしてしまうことです。
 本当なら、そこから教育の哲学を考えていかなければならないのです。
 例えば、黒板に字を書く時には、注意の6割を生徒に、4割を黒板に向けるという6:4の法則があります。
 学生たちはこの法則を教わってなるほどと思うのですが、6:4の構えを型どおりに実践することのみに気を取られ、これが子どもに伝え、理解させるための方法だということがわからないんですね。
 そもそもテクニックは何のためにあるかが抜け落ちてしまっているのです。テクニックやマニュアルの根本的な哲学を考える必要性を痛感しています。
 普通、教師になって3年ぐらいで、自分の教育スタイルがだいたい決まってしまいます。
 それ以降は一国一城の主となり、他者の意見を聞かなくなってしまいがちです。
 ですから、合格をゴールとするのではなく、新卒5年目ぐらいまでは懸命に勉強すべきなのです。
 池田教授の本の読者から頂いた感想によると、この本が自分の教育を考え直すきっかけになったという先生もいます。
 一校目の赴任地で教師スタイルが決まってしまうので、若い先生はどんどん学校を変わった方がよいと私は思います。
 校風というのは、それぞれの学校によって全く異なるものですからね。
 教師を目指している学生には、もっとたくさん本を読んでほしいものです。
 そうすると、「どんな本を読んだらいいですか?」と質問する学生が多くいますが、これは本を読んでいないことを意味するのですよ。
 100冊読めば、本の方から「次はこれを読んで」と言うはずです。
 文章を通して内容を豊かに想像することができるので、活字本をたくさん読むことが望ましいです。
 こうして本をたくさん読むことによって、雑学が身につきます。
 特に小学校・中学校教育においては、雑学はとても大切です。
 教師は、教えたいテーマの周辺に雑談を織り込むことをよくします。
 これにより、子どもたちはストーリーとして記憶し、学習していきます。
 この雑談ができるようになるためには、雑学が必要なのです。
 色々と読んでいったら1年間に軽く100冊は超えますよ。
 それから、色々な先生の授業をその先生の立場で見てほしいと思います。
 池田教授は「視座の転換」というものを求めています。
 子どもたちの側と、先生の視点・立場で物事を見なさいということです。
 池田教授は、大学の恩師から「授業は、子どもの事実から作るもんだ」と指導されてきました。
 子どもの事実とは、子どもの興味や要求や学力のレベルなどだと思っています。
 そこから、授業を作っていく問題解決型の授業づくりをしていただきたい。
 教師の視点で見る例をあげると、
 池田教授の受け持つある講義では「100人の子どもを引率して○○に行く」という実踏計画(実地踏査の計画)を学生に立てさせています。
 まず計画を立て、実際に現地に行って調べ、さらに計画を書き直すということをしています。
 学生は現地調査で、大人数の子どもを引き連れて信号を一度に渡れないことや、全員集合できる場所の確保の難しさなどを思い知ります。
 これによって、教師の視点というものを多少なりとも持てるようになると思います。
(池田 修:京都橘大学教授。東京都公立中学校教師を経て現職。「国語科を実技教科にしたい、学級を楽しくしたい」をキーワードに研究。 恐怖を刺激する学習ではなく、子どもの興味を刺激し、その結果を構成する学びに着目している。全国教室ディベート連盟理事、京都で教育研究会「明日の教室」主催)

 

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