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子どもの心が健康であるためには、自己肯定感が必要である、どうすれば自己肯定感を得ることができるか

 子どもが心の健康を得るには自己肯定感が必要である。
 相談活動に身を置くカウンセラーである富田富士也から見て、心の健康には自己肯定感の獲得が求められると思います。
 自己肯定感の希薄化は言いかえれば、子どもたちの心の健康の危機なのです。
 人にとって最大のストレスは人間関係ではないでしょうか。そして、悩みのほとんども人間関係です。
 人は一人では生きていけません。だから、学校のクラス集団のなかでどのようにして自分を維持していくのか。それはとてもストレスのかかることです。
 富田さんの相談室に来る子どもたちは対人関係に自信をなくしています。ストレスでいっぱいです。
 抱かえきれないストレスは自己評価を低くし、自己肯定感を喪失させます。
「自分は誰からも必要とされていない」と思ってしまえば、人と関わるエネルギーが乏しくなります。
 人間関係の紡ぎ合いをあきらめ、人間関係に期待しないと、傷つかないかわりに孤独というストレスを背負い、心のバランスを失っていきます。
 人間は、人とつながるためにこの世にうまれてきたのです。人は一人では生きていけない。
 しかし、人間関係には矛盾がある。
 どんなにヒドイと思える人にでも「そうならざるをえない生い立ちがあったのではないか」と、その人の背景に思いを馳せることが大切。
 お互いの思いが対立するときもある。そんなときはケンカになる。
 ケンカしてせめぎあっても、折り合って仲直りができる。
 ケンカしたら、もうすべて終わりではない。
 人間は、人を信頼しなければ生きられない。
 人は、みんな寂しいんです。みんな、甘えることができないんです。
 人を信じる勇気がないと、人は、人に甘えることができない。
 弱点は、だれでもあるんです。傷つくリスクを背負ってこそ、癒されるんです。
 トラブル、対立を恐れてはいけません。
 不条理なことは、くやしいけど、一旦、受け止めるしかないんです。
 苦しみ、悲しみは、その人が背負うしかないんです。
 ただそばに居る。ただただ聴く、逃げない。
 自分は、無力だと謙虚に受け止めなければいけない。
 なんとかしようと思ってはいけない。
 人は人とからみ合うことで心が傷つき、また逆に癒されます。
 だから、癒されるチャンスにめぐり合うためには、傷つくリスクを背負うことも必要なのです。
 人と向き合うから傷つき、人と向き合うから癒され、人と向き合うからわかり合える。
 人と関わることで、人に共感することができ、そこから、自己肯定感が生まれる。
 人と絡み合うことで自己肯定感を獲得する道を模索したいものです。
(富田富士也:1954年静岡県生まれ、心理カウンセラー。総合労働研究所で教育相談ボランティア(10年間)活動を経て、民間の青少年相談援助機関を開設。幼児教育から青年期までのカウンセリングや相談員、教育・福祉臨床員を育成。子ども家庭フォーラム代表、文京学院大学生涯学習センター講師、日本外来精神医療学会常任理事、日本精神衛生学会理事、日本学校メンタルヘルス学会・運営委員、全国青少年教化協議会評議委員)

 

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