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モンスターペアレントが病的であるか見極め、個人で対応せず、相手のペースに乗らないことが非常に重要

 モンスターペアレントは2種類ある。「うちの子さえ良ければ」という保護者と、もう一種類は「病的」なモンスターペアレントである。
 苦情を言ってきている相手が、病的であるか否かによってその対応は違ってくる。
 だから言っている苦情の内容やパターンをきちんと見極めなくてはならない。
 病的かどうかは次のチェックリストを参考にしてほしい。
 苦情に、チェックリストのような特徴が見られれば、その親は病的である可能性がある。
 ゆるしを請わなければならない理由がない場合は、絶対謝ってはならない。
 謝罪し、誠意を持って対応することが逆に苦情をエスカレートする可能性があるので、通常の保護者への対応とは分けて考えなくてはならない。
 病的なモンスターペアレントであると考えられる、その見極めポイントは、
・何が苦情の原因になったのか全くわからない。
・教師に対する感情・評価が突然かわる。
・要求がすぐ苦情に転化し、エスカレートしていく。
・苦情先も教育委員会、議員など複数になる。
・「訴える」「マスコミに言う」「弁護士と相談している」「議員は力になってくれる」とまことしやかに言う。
・「治療費を払え」から、慰謝料、損害賠償とエスカレートしていく。
・一日少なくとも5回以上、相手を変えて何度も電話してくる。
・明らかな脅し。
・相手によって、内容を少しずつ変え、教師間に不信が募るように操作する。
・苦情のないようを、あたかも事実であるようにつくり変えてゆく。
・苦情が教師個人の誹謗中傷に転化しエスカレートしてゆく。内容は事実無根である。
・自分は絶対正しいと自信と確信に満ちている。事実無根の誹謗中傷であっても証拠を持っていると言う。
・嘘、つくり話を理由に苦情を申し立てる。
・苦情の内容が妄想的である。
 などである。
 モンスターペアレントは個人で対応せず、相手のペースに乗らないことが非常に重要である。
 モンスターペアレントは絶対に個人で対応してはならない。
 相手のペースに巻き込まれ、精神的に追いつめられるからである。
 学校の組織として対応しなくてはならない。
 だから、教師個人がクレームを言われたり、無理難題の要求を保護者から出されたら、躊躇せず、速やかに校長や教頭、学年主任に知ってもらう必要がある。
 楽観視して、誰にも相談しないと、後々の惨事につながる。
 できれば、モンスターペアレントと話をしたのは誰で、どういう話で終わっているのかを、時系列で確認できる記録をつくっておくと良いだろう。
 必要なときに誰でも見られる形にしておけば、職員室で情報が共有でき、モンスターペアレントから電話がかかってきたときに、記録を確認して電話にでることができる。
 また「言った、言わない」の議論になったときも記録の存在は重要である。
 何らかの返答を「明日までに」などと求められたときに、相手の言ってくる期日で約束してはならない。返答はたとえば、
「要求は重要なことなので、そんな短期間でお返事する約束はできません」と答え、相手のペースに乗らないことが非常に重要である。
 まずは、苦情の当事者になっている教師に事実を確認し、組織としてどう対応するかを検討したえうでなければモンスターペアレントと対応してはならない。
「訴えてやる」「マスコミに言う」「議員を知っている」という言葉はクレーマの常套手段である。
 しかし、この言葉に全くおびえる必要はない。
 モンスターペアレントが言っていることなど、まともに誰も取り合ってくれない内容であることを皆良く知っている。
 教師や学校をおびえさせて主導権を握るための脅しに過ぎないのだから、気にすることはない。
 もし仮に訴えられても、負けることなどありえない。
 それに弁護士が間に入ってくれたら、直に話をするよりも話は早くなる。
 マスコミも信じるはずがない。
 議員もせいぜい一度電話をかけてきて「よく話し合ってください」というレベルであろう。
(山脇由貴子:1969年東京生まれ、東京都児童相談所で19年間、児童心理司として2000人以上の子供たちの心のケア、年間100家族以上の相談や治療を受け持った。2015に退職後、「山脇由貴子心理オフィス」を立ち上げた。臨床現場の生の声を発信し続けている)

 

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