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子どもたち誰もが行きたくなる学校を創るには、どうすればよいか

 栗原慎二先生は、広島大学の教員の中で、学生による授業評価No.1に選出され、学長賞を受賞、講演回数も多い人気教授です。
 埼玉県内の公立高校で荒れた学校や不登校生徒の多い学校での教師経験をもつ学校再生のスペシャリストで、広島市全体の不登校生徒数を1年間で激減させた実力派です。
 モグラ叩き的生徒指導はもう本当にやめ、予防的に、かつ組織的に動いていきましょう。
 高校教師としての経験が長い(18年間)栗原先生は、教師の気持ちをよく理解してくれます。
 伊勢市教育研究所の夏季研修の講演(2013年)で次のように語っています。
 栗原先生は「学級の状態と学力は大きな関わりがあり、生徒指導をきちんとすれば半年で学級は変わり、学力も向上する」と。
 具体的にどう行動すればよいか。栗原先生は、教師の視点を変え、現状を捉えた上で今の子どもをどう理解するかが大切だと。
 昔の子どもたちは、屋外で異学年の子どもも交えて、多人数で身体を使って遊んでいたのに対し、今の子どもたちは、屋内で同学年どうしが少人数で遊んでいる。
 これでは、対人関係スキルが身につかない。
 さらに、子ども集団の崩壊と遊びの変質に加えて、家庭機能の低下、いじめや学級崩壊、社会からの要求の高度化等により、良質の人間関係をつくる体験が不足していると指摘。
 他者や社会への否定的感情、自尊感情・自己有用感の低さ、スキルの不足が、過剰な気づかい、人格的もろさ、ボーダー感覚の喪失、非共感性、攻撃的行動につながり、それらが「不登校」「ひきこもり」「NEET」「青少年犯罪」等の現象となって表れていると栗原先生はいいます。
 それではコミュニケーション能力を高めるには、どうすればよいのか。
 栗原先生は、勉強ができるようになるには勉強をする、サッカーができるようになるにはサッカーをするのと同じように、コミュニケーション能力を高めるにはコミュニケーションを多く体験することが重要だと。
 とにかく大事なのは、質より量。やっていくうちにうまくなる。
 マイナスの体験についても、ある方がよい。マイナス体験が、それを上回る肯定的な人間関係の構築に繋がる。
 クラスで誰にでも「おはよう」と言える子どもは、一体何人いるでしょうか。
 中学生を対象に調査した結果では、向社会性のスキルの高い子どもは、勉強もできるし、友人もできるし、いじめられないし、楽しいと感じているという結果が出た。
 今の最大の問題点は、子どもたちが集団から集合に変わっていることだと栗原先生は強調する。
「集合」の中には絆がなく、支え合いがありません。このことが、教育が難しくなった最大の原因である。
 これまで「スクールカウンセラー」「特別支援」「スクールソーシャルワーカー」など、様々な取り組みにより現状を支えてきてはいるものの、なかなかうまくいかない。
 生徒指導の本質は「集合を集団に変えることで解決する」と栗原先生は指摘する。
 集合を集団に変えるためには、生徒指導、授業づくり、学級づくり、学校づくりなど全ての場面において意識して取り組むことで集合が集団に変わるというのです。
 具体的な例をあげると、授業では、子どもたち同士が交流するグループ活動の中で、互いの影響力が発揮できる授業、欲求の満たされる授業をしていくべきだと。
 一部の子どもだけがヒーローになり、一部の子どもだけが楽しめる授業では、子ども達の意欲はどんどん落ちていく。
 意欲・欲求というのは、「交流欲求」「承認欲求」「影響力欲求」の順に満たされていくという特徴がある。
 学級崩壊では、交流欲求のある子に振り回される状態が見られ、問題行動の目立つ子どもを叱ることで、問題行動を継続・拡大させることになる。
 子どもたちが普通の行動をとっている時に交流することが大事。交流により欲求が満たされると、問題行動を起こす必要性がなくなる。
 また荒れた状況にある子どもへの指導や支援のポイントは、
(1)発達的問題・養育上の問題・欲求を理解し、情緒的サポート(理解・傾聴・感情の交流・承認など)を提供する。
(2)観察で、きちんとしたレスポンスを返す。
(3)コミュニケーション能力を育む。
(4)個々の学習ニーズに応じた学習課題を設定する。
 ことが重要である。
(栗原慎二:1959年青森生まれ、埼玉育ち。広島大学教授、スーパーバイザー、ピア・サポート・コーディネーター。埼玉県公立高校教師(18年間)として生徒指導・教育相談に携わる。AISES(学校教育開発研究所) 代表理事、日本学校教育相談学会会長。専門は学校臨床心理学)

 

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