ふだんから保護者に子どものよいところ知らせ協力を依頼するとよい、また保護者会を実りあるものにするにはどうすればよいか
学級を崩させないためには、問題傾向を持つ生徒には、日頃から一定のルール(生活の決まりや常識)からはずれた行動を取らないように注意を向け、ルール違反をした場合は、その都度指導することになる。
もし、これを見逃しているようでは、ルール違反の仲間が増え、学級全体の秩序維持が日に日に難しくなっていくのである。
だから見逃さずに注意し指導する。その積み重ねが欠かせない。
そして、行為の内容によっては家庭にも連絡して、指導の協力を依頼することが大切になる。
その場合に、何かあったときだけ家庭に連絡するのでは話にならないのである。
ふだんの生活で少しでも良いところが見て取れたら、電話でもよいので、それを自然な形で伝えていくことが必要である。
それは保護者をどれほど喜ばせるか図り知れないものがある。
そうした連絡を受けている中でのことなら、保護者は厳しい問題点の指摘も受け入れるし、それに対する指導の協力も受け入れてもらえるものだ。
子どもの良さを見つけるには、性善説に立ち、日頃から子どもと交流し、生活を観察していれば、何らかの良さを見いだせるものだ。
先入観にとらわれないように注意しながら、日々新たな目で、かつ好意的な眼差しを持って子どもを見ていくのである。
すると、きっとその子なりの良さが見えてくるはずだ。
それを、タイミングを見て自然な形で保護者に伝えていくことが、生徒指導にとってどれだけ重要であるかは、実践してみればわかることである。
私の経験からいって、どれ一つとして好結果につながらなかったものはないと記憶している
保護者会を実りあるものにするには、つぎのようにするとよい。
1 学級担任の経営方針等をよく理解してもらう
初回の保護者会では、学級担任の経営方針等をよく理解してもらうことである。
担任がどのように子どもたちを教育していこうとするのか、これを理解してもらわなくては、担任への協力は得られるはずもなく、保護者も協力のしようがない。
実は保護者が一番知りたいことでもあるし、信頼関係を築くうえで大事な一歩となることを心得なければならない。
2 子どもたちの学校でのようすを伝える
日頃から、子どもたちを観察したメモや具体的資料を用意しておき、
「授業の様子」「昼休みの様子」「清掃状況」「学校行事」等への参加態度と活動状況などを保護者に伝える。
具体的な子どもの活動状況を報告することは、保護者を安心させ、かつ保護者の信頼を得ることにつながっていく。
3 家庭での子どもの様子を話してもらう
家庭での、わが子の良いこと、悪いこと、気になっていることなどを、保護者会でみんなの前で話してもらうことである。
個人の家庭での問題をなぜ全体の場で話し合うのかと、疑問をもたれる方もいるかも知れない。
その理由は、困っていることは案外共通していることが多いし、すでに上の子で体験して解決されている保護者も必ずといっていいほどいるので、アドバイスをもらえる場合が多いからである。
たとえ体験者がいなくても、みんなで問題の解決策について考えあうという姿勢とその雰囲気が大変意義を持つ。
それができている学級は子どもたちもよく育っていったし、良い学級となっていったのである。
4 学校や担任への要望を必ず聞く
つぎに欠かせないのは、授業のことや、部活動での苦情、服装や生徒指導または保健衛生に関わることなどの要望を聞くことだ。
授業や部活動については、毎回といっていいほどさまざまな要望がだされるものである。
これらの要望にはすぐすべてに応えられるわけではない。
後日、職員会議で検討を要するものもあるし、明らかに無理な要望で本質的に応えられないものもある。
しかし、無理なことと思えてもよく耳を傾け、その思いを理解することが求められる。
たとえ要望が叶えられなくても、それに耳を傾け受け止める姿勢を示すことによって、担任や学校への信頼が高まるのである。
そうするだけでも学校への不信感は生まれにくくなるものだ。
(大阪隆夫:1941年生まれ、元横浜市立中学校教師(四校に勤務)。「生き方を探求する会」会長として道徳教育を研究。シュタイナー教育を研究)
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