不登校の子どもたちを対象とした取り組みにはどのようなものがあるか
兵庫県生野学園高校は、不登校の子どもたちを対象とした、全寮制の高等学校(中学校も併設)です。
不登校の子どもたちは人への信頼や自信を失い、不安や焦燥感あるいは無気力感の中で苦悩しています。
こうした子どもたちにとってもっとも必要なことは信頼できる人と出会い、ゆったりと安心できる環境の中で、本来の自分らしさを取り戻していくことです。
安心できる居場所を見つけ、信頼と自信を取り戻した子どもたちは驚くほど生き生きと活動するようになります。
こうした子どもたちの人間的な成長は人とのかかわりの中からしか生まれません。
人とのかかわりを避け、単に知識や資格を取得するだけでは問題の本質的解決にはならず、先送りするだけです。
生野学園はこうした考えから全寮制としています。
学習だけでなく生活をともにする中で子ども同士、子どもとスタッフの間に深い関係を築き、人への信頼感を育て、社会性を身に付けていくことが出来るのだと考えています。
不登校の子供たちの親が変わっていったきっかけの多くが、自分の子どもとの対話ではなく、ほかの不登校の子どもとの対話であった。
なぜそのようになるのかと言いますと、自分の子どもとは、最初からそれほど深刻な話はできません。
しかし、他人の子どもだと、ある程度客観的に冷静に話をできますし、余裕を持って話を聞くこともできます。
そのため、親の生き方の誤りという核心の部分について、少しずつ気づいていくことができるわけです。
親の会(2ヶ月に一回)で、徹夜で話をしていくうち、親たちは、少しずつ自分の子どもがどういうことを不安に感じ、学校にいけなくなったかということに気づきはじめます。
子どもの心に近づきはじめるわけです。
親が気がついていく姿に、子どもも反応していくのです。
そのようにして、親子のあいだで「心のキャッチボール」が始まり、「魂の出会い直し」が起きはじめることにより、子どもたちはみごとに立ち直っていくのです。
親がその生き方を変えることで、子どもが変わっていったのです。
いまの子どもの問題の大半は、親の責任です。
親の問題が、子どもにとっていかに大きいかということです。
神経症で不登校の子どもは、実は完璧主義です。
「ねばならない」ということに縛られています。
文化祭の準備でリーダーが「完璧にできなくていいから、とにかくやってみよう」と言って、バンド演奏などを成功させました。
その小さな成功体験が意欲にかわっていったのです。これはひとつのヒントになると思っています。
(高橋史朗:1950年兵庫県生まれ、思想家、教育学者。麗澤大学特任教授。親学推進協会理事長)
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