私が「教師を支える会」を立ち上げることにした訳とは何か
諸富祥彦教授は1993年に千葉大学教育学部の専任講師に赴任して以来、小学校・中学校・高校の先生方との関係を密に持ってきた。
その中で、諸富教授が抱いた実感は、
教師はすごい。特に教師集団が一体となって動き始めた時のパワーは並大抵のものではない。
スクールカウンセラー一人の活動などとてもかないはしない。
そうであるならば、スクールカウンセラーとして直接子どもを支援するだけでなくて、「教師集団をサポートすることで間接的に子どもを支援する方が良いのではないか」という気持ちがあった。
そんな思いで、諸富教授は教師を支える会(現場教師のサポートグループ)を立ち上げました。
今、「教師受難の時代」と言われています。
学級崩壊、いじめ、不登校の増大、学力低下など、問題は山積み。
子どもたち、そして保護者たちの変化は著しく、その中で多くの教師が途方に暮れています。
その一方で、教師への要求・負担はますばかり。
教師特に学級担任への眼差しは、ますます厳しい。
考えてみれば、このような変化の厳しい時代の中では、多少うまくいかないことが出てきても当たり前。
大切なのは、教師や教育関係者たちがお互いに支えあって、この困難な時代をうまく乗り切っていくことです。
しかし教師には、まじめで責任感の強い方が多い。
自分に与えられた仕事は、自分できっちりやろうと、一人で背負い込みすぎ、追い込まれている方も少なくありません。
また、不運にも、教育観などの相違もあり、同じ勤務校の中で、お互いに支えあったり相談しあったりといったことが、気兼ねなくできる同僚や管理職に恵まれていない教師もいます。
教師として本来、素晴らしい力を持っているのに、仲間から孤立して、不必要に自分を責め始め、ますます力を発揮できなくなっている先生方も少なくないようです。
別の学校に移ることを考えたり、休職を考える先生も当然います。
これらのことを、教師本人の責任に帰すのは過酷すぎます。これだけ大変な時代なのです。
いろんな問題が生まれてくるのが自然です。
世間もマスコミでの報道などを通して今の学校現場の大変さは知っているはずです。
にもかかわらず、今教師が大変だ、教師を支えよう、という具体的な動きは、あまり見られません。
しかし、教師自身が、安定した気持ちで自然な笑顔を浮かべることができる状態になくては、いい教育ができるはずがありません。
今、必要なのは、この「教師受難の時代」に、その難局を乗り切ろうとがんばっている「先生方をバックアップする力」の存在です。
教師同士のつながりももちろん大切ですが、教育関係者や地域の方などが「傍らから教師を支援する」こともできるはずです。
今、この大変な時代に、先生方を支える力を大きくしよう。
そのために、個々ができることをすると共に「教師を支える」眼差しを持つことが、学校がこの難局を乗り切ることにつながる。
ひいては子どもたちのためになることを社会に対してアピールしていこう。
そのためのゆるやかなネットワークを作っていこう。
そんな思いで、諸富教授は教師を支える会(現場教師のサポートグループ)を立ち上げました。
教師を支える会は、
(1)学級経営や子どもたちの心の問題への対応
(2)保護者対応
(3)職場での人間関係
(4)教師のメンタルヘルス(特にうつ)
(5)休職中のすごし方や職場復帰の準備など
において悩みを抱える教師や、かつてそうした問題に直面した経験のある教師が集まり、現在抱えている問題をお互いに相談しあう。
その問題の解決方法をグループで模索したりする「サポートグループ」を基本として活動しています。
あくまで「自助」が基本ですが、専門の心理臨床家が安全な場づくりを手伝いします。
現在、次の支部が活動しています。それぞれの日程と会場をご確認の上、ご参加下さい。東京支部、国立支部、市川支部
諸富教授は個人的な相談等については回答しかねますが、講演、研修、ワークショップ等の依頼はメールにてお引きうけされるようです。
(諸富祥彦:1963年福岡県生まれ、千葉大学教育学部講師、助教授を経て明治大学教授。日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会認定カウンセラー会理事、日本生徒指導学会理事、教師を支える会代表、現場教師の作戦参謀)
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