どうすれば理科好きの子どもを育てることができるのか、その手立てとは
ある調査によると、小学校の教師の62%が理科は苦手だということです。
たとえば、理科の授業で実験はしない。実物も見せない。教科書を読んで学習は終わり。
というように実験の準備や栽培など、いろいろなことが面倒だというわけです。
これでは、子どもに理科の感動を伝えることはできません。
実は、大前暁政先生も大学を出たての新卒のころは、理科の授業のやり方がわからず、途方に暮れていた経験があります。
新卒の時代は、とにかくがむしゃらに理科の実践を続けました。
授業のやり方もわからず、ネタももっていないので、同僚に教わったり、先輩の教師にネタを聞きに行ったりして、勉強を続けました。
そして、子どもが熱中した実践を記録に残していきました。
そして、1年後、学級で「どの教科が一番好きか」をアンケートしたところ、理科が第一位になりました。
子どもたちが熱中した事実だけを追い、実践を続けてきた成果が出たのでした。
理科は、感動を生むことのできる教科です。実物に触れることで感動し、実験から新しいことがわかって感動できます。
理科好きの子どもを育てるための、教師の手だては、おもしろいネタを準備し、授業のやり方を工夫していると、子どもたちが理科を好きになります。
最先端の科学を紹介するだけで、子どもたちは理科に興味を持つようになる。たとえば、
「大昔、地球がまるごと全部凍っていたのではないかという仮説があるのです」などと言うと、どんな子でも興味津々で耳を傾けてくれる。
理科のおもしろさは、ちょっとしたことでも感じることができる。
野草の名前は、においや形などの特徴を示していることがある。
キュウリグサは、葉をすりつぶすとキュウリのにおいがする。
春の野草のホトケノザは「葉の形が、仏様が座っているところに似ているというので『仏の座』という名前がつきました」と言って、子どもたちが気付かないようなところを、教師が気づかせてやると、子どもたちはとても喜びます。
「そうだったのか、先生!」と、子どもたちは感動して喜びます。たとえば、
「密閉したビンの中で、ろうそくを燃やした。ろうそくの火が消えた後、ビンの中に酸素はあるか?」と問うと、子どもたちの意見は分かれる。
空気中の酸素濃度が少し減っただけで、ろうそくの火が消えるという事実に子どもは驚く。
あっと驚く事実を示すためには、子どもたちが常識と思っていることと逆のことを授業化すればよい。
自分で実験をして確かめたり、友だちと討論をしたりしながら、結論を考え出していくことが楽しい、と思えるようになればすばらしいことである。
基礎学力を身につける指導も大切である。
ノート指導や、実験までの準備の指導など、教師が教えなくてはならないと思う。
文章や図・表、観察物や実験などから、気づいたことをいろいろな面からださせる指導や、結果から結論を導く方法、討論の方法など、教師は指導のやり方を知る必要がある。
私は新卒のころ、理科の授業のやり方がわからず、途方にくれていた。
授業のネタももっていなかった私は、同僚に教わったり、先輩の教師のネタを聞きに行ったりして、勉強を続けた。
そして、子どもが熱中した実践を記録に残していった。子どもが熱中した事実だけを追い、実践を続けた結果、一番好きな教科のアンケートで理科が第一位になった。
理科好きの子どもを育てる教師の手立ては、
(1)おもしろいネタを準備する。
(2)授業のやり方に重点をおく。
の二つである。
おもしろいネタを準備し、授業のやり方を工夫していると、子どもたちは理科好きになります。
(大前暁政:1977年岡山県生まれ、岡山市立小学校教師を経て京都文教大学准教授。理科の授業研究が認められ「ソニー科学教育プログラム」入賞。日本初等理科教育研究会会員。日本教育実践方法学会所属。「どの子も可能性をもっており,その可能性を引き出し伸ばすことが教師の仕事」ととらえ,現場と連携し新しい教育を生み出す研究を行っている)
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