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学校改革に成功した神奈川県茅ヶ崎市立浜之郷小学校とは

 学校改革が叫ばれて久しいが、それに成功した学校はどれだけあるのだろうか。
 成功しても、教職員の異動のある公立学校で改革を持続させることが難しいが、成功し持続しているのが、神奈川県茅ヶ崎市立浜之郷小学校である。
 1998年4月に開校し、その年の9月に奇跡は起きた。開校時20名以上いた不登校の子どもが一人残らず登校したのである。
 夏休み、子どもたちが自主的に、不登校の子どもたちに学校の様子を伝え、登校を呼びかけた結果であった。
 同校を見学に訪れる参観者は開校5年目にしてのべ5万人を越えた。
 同校を訪れた者は、その静かさに驚くだろう。
 教室では、大人では聞き取りにくいが、子ども同士では十分聞こえる程度の小さな声で話し合いが進んでいく。
 教師はいすに腰掛け聴くことに専念しており、子どもに語りかけるときも声を張ることは少ない。教室は穏やかさのなかに明るさがある。
 同校の授業観は
(1)子ども一人ひとりの考え方や感じ方が徹底的に尊重されて、一人ひとりのリズムでじっくりと対話する時間が大切にされている。
(2)教室に子ども同士の学び合う関係を築くことがめざされている。話すことよりも、聴くことが大切にされている。子どもたちの間で自然と思考がつながっていく。
教室には、子ども一人ひとりの差異と尊厳が大切にされ、子どもが安心して学べる空間となっている。
学校システムの改革は
(1)学校改革への道は、学びの苦しみと楽しみを尊び分かち合う「学びの共同体」へと脱皮するところからでしか出発しえないという佐藤学東大教授の言葉に初代校長の大瀬敏昭が引きつけられ、佐藤教授に教育改革の指導をお願いしたのが挑戦の始まりであった。
(2)校務分掌の「一人一役」制を取り入れ、教師の仕事の80%を授業、研修などの本業にあてることが可能になった。
(3)授業研究は、全体と学年会での日常的なものを含めると、一人年間3回、全体で100回を越える授業が公開されている。
 授業公開にあたって、指導案はなくてもよく、事後の研究会を充実させる。その教師らしいいい授業をめざし、子どもの学びに焦点が置かれ、子どもたちは聴き合っていたかなどといった点が問われる。
(4)親や市民が普段の授業に参加する学習参加の取り組みが行われている。
(石井英真:1977年生まれ、京都大学准教授。授業研究の蓄積に学びながら、学校で保障すべき学力の中身とその形成の方法論について理論的・実践的に研究している。特に、授業を硬直化させるのではなく、むしろ柔軟で創造的なものにするような、目標の明確化とそれに基づく評価のあり方について考えている)

 

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