« 学級内でいじめが発覚したとき、担任はどう対処すればよいか | トップページ | 小学校教師時代に,東の斎藤喜博,西の堰八正隆と称された堰八正隆とは »

人生を変える勉強をしよう

 学びは、人生最高の楽しみ。勉強が本分の10代はもとより、大人だって学習をもっと生活に取り入れたいもの。 著作「よのなか」シリーズでも知られる藤原和博さんに、学びの極意を聞いてみよう。
 みなさんは気づいているでしょうか。日本では1997年に、はっきりと時代の変わり目がやってきました。
 97年以前の日本は、20世紀型の成長社会。キーワードを挙げるなら「みんな一緒」。
 何事にも、あらかじめ用意された正しい解答があると考えられていて、その正解へ真っ先に行き着くことがよしとされました。
 仕事の現場では、物事を早くきちんと、真面目な態度でこなす能力が求められました。
 生活面では、あらかじめ提示されたものを消費するのが奨励されます。
 建売住宅を購入し、勧められるがまま保険に入り、流行のレジャーにいっせいに飛びつくといったことです。
 子どもの学習も、情報を早くきちんと処理する手段を身に付けることが目的でした。
 ところが、98年以降はあきらかに時代が変わります。
 成熟社会を迎え、価値観が「それぞれ一人ひとり」へとシフトしました。
 もう決まった正解はどこにもありません。
 あるのはただ、自分自身の頭で考え導き出した、それぞれの納得解だけ。
 仕事でも生活でも、単に入ってきたものを右から左へ受け流すのではなく、情報をみずから編集する力が求められます。
 学びのかたちも、ただ知識を詰め込むだけでは意味がありません。
 これからは頭の柔らかさや、いろんな角度から物事を見る複眼的な思考、知識を応用して実地に活かす能力などが求められ、それらを得るためのトレーニングが必要となってきたのです。
 いまやすっかり、インターネット全盛の社会ですよね。そんな時代に人は、否応なく大きく2つのタイプに分かれてしまいます。
 情報を生み出す側の人と、情報をひたすら消費する側の人です。
 情報を消費するだけでも時間はいくらでもつぶせますが、それだけではいつか、むなしく感じるときがやってくるのでは? 
 自分の存在感を増していったり、生きていることを実感するには、情報を生み出す側に回らないといけません。
 そのためにはどうするか。自分にしかできないことを見つけ、それを他の人にもわかるようなかたちにして、だれかに届けるためうまく発信していく必要がある。
 そういうことができるような学びを、積み上げていかなければいけませんね。
 ここでいう勉強とは、国語・算数・理科・社会・英語といった教科ではありません。
 それらは、20世紀に有効だった学習の型。
 情報編集力が求められる21世紀成熟社会には、通用しづらくなっています。
 新しい情報活用能力、すなわちリテラシーがいまこそ求められているのです。
 どんなものかといえば、
 ・シミュレーション能力
 ・コミュニケーション能力
 ・ロジカルシンキング能力
 ・ロールプレイング能力
 ・プレゼンテーション能力
 この5つのリテラシーです。
 いまは正解がない時代なのだから、何かをするときは常に、自分で仮説を立てていかなければいけません。
 仮説を構築する力が、シミュレーション能力です。
 よりよい解を求めるには、多くの人の知恵を持ち寄ったほうがいい。
 そのアレンジをするための力が、コミュニケーション能力です。
 情報が氾濫する時代だからこそ、物事を疑い検証する態度も重要です。
 正しく疑う力、それがロジカルシンキング能力。
 別の角度から状況を眺める冷静さも大事ですね。そうした目を保てるのが、ロールプレイング能力。
 自分の能力を最大限にアピールするためのプレゼンテーション能力も含めて、これらがいまと今後の社会を生きていくために、必須の力となっているのです。
 これから学校で勉強をする人たちは、そのあたりを意識して学びに向かうべき。
 では、すでに20世紀型の学習を経てきた大人はどうすればいいか。
 まずは、自覚することです。
 自分が情報処理力重視の「正解主義」学習をしてきたことに。
 そうして改めて、情報編集力を磨くための「修正主義」学習を、折に触れ心がけていきましょう。
 常に頭を柔らかくしておく、それがポイントになってきますよ。
 人はなぜ学ぶのか。幸せに生きるためですね。
 20世紀までは、幸せのかたちというものがたしかにありました。
 いい成績をとっていい会社に入り、子をもうけて孫の顔を見て……。
 でも、そんな定型は崩れました。会社も国も、何も保証してくれません。
 一人ひとりが、それぞれの幸福論を編集しないと、幸せを見つけられなくなっているのです。
 自由度は格段に上がったけれど、自由ってじつは、使いこなすのがたいへんなもの。
 自分の頭でしっかり考えないと、自由を持て余し、幸せは遠ざかってしまう。
 幸福を得るための手段として、自身の情報編集力を磨かないといけない。
 その営みこそが、いまの時代の本当の「学び」なのですよ。
(藤原和博:1955年東京生まれ、教育改革実践家、東京都杉並区立和田中学校・元校長。株式会社リクルート東京営業統括部長などを歴任後、同社フェローとなる。2003年より5年間民間人校長を務め『文部科学大臣賞』などを受賞、進学塾と連携した夜間塾「夜スペ」も話題に)

 

|

« 学級内でいじめが発覚したとき、担任はどう対処すればよいか | トップページ | 小学校教師時代に,東の斎藤喜博,西の堰八正隆と称された堰八正隆とは »

人間の生きかた」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 学級内でいじめが発覚したとき、担任はどう対処すればよいか | トップページ | 小学校教師時代に,東の斎藤喜博,西の堰八正隆と称された堰八正隆とは »