授業中に行う説明の技法にはどのようなものがあるか
授業中に、教師が子どもに説明することがたいへん多くあります。言葉や知識について説明したりします。
教科書は、子どもに知らないことを提供することを目標にして編集されています。
それでいきおい授業は、知らないことを知っている言葉を使って説明するということになりがちです。
それが単に言葉の置き換えだけにとどまってしまうと、深い授業にはならないのです。
説明の技法には次のようなものがあります。
(1)言葉の置き換えによる説明
一番あたりまえの技法です。知らないことを知っている言葉を使って説明することです。
手軽で便利なものですが、単純な方法ですから効果はそれほど大きくはありません。
(2)イメージによる説明
言葉によって描写することで、子どもたちの頭の中に「絵・音・匂いとか」をつくりだす方法です。たとえば、有名な実践家の斎藤喜博先生は
「こんどは『すすき』を考えてください」
「この俳句の場合、どちらかというと、すすきは一本とか二十本とかでなく、広い野原がすすきでいっぱいになっているのではないかな」
「一本一本のすすきなどは見えない。見渡すかぎり、すすきが綿をひろげたようになっている」
このように、言葉による描写力を教師が獲得し、その力を高めることは、そんなに簡単なことではありません。
ふだんから意識的に訓練し、実際に試してみるなどの努力が必要となるでしょう。
(3)例をあげる説明
子どもの生活経験にありそうな具体的な例と結びつけて説明することがよくあります。
その効果も大きいものがあります。たとえば、斎藤先生は
「自分の可愛い子が『おててが冷たい』と言っているんだからね」
「みんなの家のお母さんはどうなんだ?」
「『母ちゃん、足がきれちゃった』なんて言ったときに、お母さんは、空のほうをみて涼しい顔しているかな」
「『あら大変、どうしたの』(動作してみせる)こうやるでしょう」
このように具体例が授業中にとっさに生まれてくるようになると、授業の力は非常に高くなってくるのだと思います。
(4)比喩を使う説明
それを引き合いに出すことによって、あることの本質がはっきりしたり、うまく説明ができるというものです。たとえば、斎藤先生は
「息を吸うとき、お腹出なけりゃだめでしょう」
「だって、お菓子か何かもらうときに、袋を小さくしたら入らないでしょう」
「うーんとふくらませなければ空気が入らないでしょう」
「それを、息を吸うときに引っ込むんじゃ、入らないでしょう」
(横須賀 薫:1937年生まれ 宮城教育大学学長、十文字学園女子大学学長を務めた。教員養成や授業に関する研究を主に行った)
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