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子どもたちは「勉強は役に立つ」と分かれば、勉強を好きと感じ、子どもたちは自ら勉強するようになる

 授業が楽しければクラスは荒れません。
 増田修治先生は「先生の授業が分からない」という理由が一因となって、学級崩壊するケースもあると指摘。
 授業の構成というのは、本当に難しいものです。たとえ部分的に面白くても、全体として何が導き出せるのか、という全体構成力がないとダメ。
 そうじゃないと本当の意味で授業は面白くはなりません。
 なにより、子どもたち自身が勉強を「面白い」と感じるためには、勉強が自分の役に立っているという実感を子どもたちに持たせることが必要だと増田先生は言います。
「勉強は自分の役に立つ」と分かれば、子どもは勉強を「好き」と感じられると思います。
 学ぶことが楽しくなる仕組みを作ってあげることが大切と増田先生は言います。
 たとえば、1年生で植物の種を植える授業では、増田先生はこんなユニークな試みをしました。
 ヒマワリの種を土に植えますよね。子どもたちに「どうなると思う?」と聞くと、子どもたちは「大きくなる」「増える」などと答えます。
「じゃあ…」と増田先生は言います。
「先生はお金を増やしたいから、100円玉を植えるね」と、
 子どもたちは毎朝、どうなるのか気になって、100円玉を植えたところに集まってきます。
 本物の種からは芽が出てきました。でも、当然のことながら、水をあげても、肥料をあげても、お金から芽は出ません。
「なぜ出ないんだろう」と増田先生が聞くと、子どもたちは「お金を植えて増えるなら、みんなお金持ちになっちゃう」「種とお金は違うんだよ」などと言い出します。
 ある子どもが「きっと種には秘密があるんだよ」と言いました。
「どんな秘密?」と聞くと、「種の中に、芽が出る秘密があるはず」と言ったから、芽が少し出ている種をナイフで切ってみました。
 観察して「この白い部分が芽の力になるものなのかなあ」「よく出来てるね~」などと話し合います。
 そこで、「じゃあ、種だけあればいいのかな? それだったら水栽培をしてみよう」と問題提起します。
 やってみても、水栽培では、ある程度のところまでしか育たない。
 すると子どもたちは「土にも秘密があるんじゃない?」「種の中のものを使い切っちゃって、土からもらうんだよ」と言い出します。
 みんなで話し合うことで、様々な可能性に気づいていきます。
 自分たちで考えながら、だんだん分かってくるから「勉強って面白い」となります。
「自分たちで考えさせて、一段一段登らせることが大切」と増田先生。
 ただ、膨大なカリキュラムをこなすためには、それぞれのテーマにそれほどの時間を割けないのではないでしょうか。
 小学校で教えなくてはいけない内容は、本当にたくさんあって、時間が足りないのは事実です。
 増田先生の場合は、軽重をつけていました。全部同じに扱っても子どもに力はつきません。
 特に子どもの「興味が強く、広がりのあるテーマ」はしっかり取り組みました。
 例えば、3年生で習う「磁石」も、その一つ。みんながよく遊んでいる、砂場での砂鉄集めから考えます。
 親が言葉がけを工夫すれば、知的好奇心を育てることは可能です。
 教師にはセンスも必要です。センスが良ければ3年目ぐらいで10年目の先生の力を追い抜くこともあります。しかもセンスは磨き続けないといけません。
 自分の持ち味を生かしてセンスを磨くのはなかなか大変ですけれどもね。
 授業の質はとても重要ですが、家庭でも親が言葉がけを工夫することによって、子どもの知的好奇心を育てることはできます。
 学校で習ってきたことについて「どうだった?」と聞いて、授業についての会話を引き出してください。
 子どもの説明が拙いものであったとしても、親が一生懸命聞き「へー、すごいね、そんなの知らなかったな、また一つ賢くなったね」と褒めてあげれば、子どもは「明日も授業をまた一生懸命聞いて、賢くなろう!」と思えるようになると思います。
(増田修治:1958年生まれ、28年間の小学校教師を経て白梅学園大学教授。NHK「あさイチ」に出演するほか、ニュース番組のコメンテーターとしても活躍)

 

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