学校の職場で教師が心得ておくべきことは何でしょうか
教師たちを見わたせばすぐに、すべてのことについて教師の意見が一致するということは不可能だと気づくでしょう。
それは期待すべきことでもありません。学校の日常は矛盾や葛藤だらけで、決まった答えなどはありません。
よい職場環境というのは、教師が協働し、なおかつ個人のよさが維持されたときに初めて築くことができます。
あなたは、チームにおける多様性こそがよいアイデアをつくるのだ、という認識を持っていますか?。それはよい出発点となります。
例えば、一人の教師がアイデアマンで、別の教師が子どものグループ学習を支えることに長けているというチームは、とても強いのです。
職場では、さまざまなタイプの教師がいるチームで働くことになるという心づもりをしておく必要があります。
多様性こそが強みであると実感できるようになるまでが大変だと思います。
多様性に可能性を見いだし、挑戦しようとする気になれば、自分自身の姿勢を見つめ直せねばなりません。
子どもたちは、一貫性のある成熟した大人であることを教師に期待します。つまり、子どもはよい大人のモデルを必要としているのです。
教師の多くは、教師が子どもの時には学校にうまく順応していた人たちです。
教師になってからもルールが大好きで、マニュアルをつくってしまうわけです。
多くは批判的な質問をしませんし、新しく違うことを考える教師には理解を示してくません。
学校のカリキュラムや計画を簡単には変えられないと思っているのです。
しかし、今日の学校では教師に柔軟さが要求されています。
予想もしなかった子どもや大人の反応や事態に対処し、乗り越えていかなければならないのです。
この過程で、誤解や矛盾が生じるのは避けられないことです。
もしあなたが、学校では人間的な間違いが多々生じるもので、まさに、それがゆえに活力が生まれるのだと感じることができれば、教師としてよい出発点に立っていると言えます。
新任教師のあなたはスタートラインに立ちました。出発の準備もできました。楽しみと不安の両方があるでしょう。それでいいのです。
教師という職業はエキサイティングで挑戦しがいのある職業です。
どのような道を進むのかが、いつも未知数なのです。でも、よいサポートがあればたくさんのことができます。
そして、成功するために一番大切なのは、十分な訓練と心の準備です。
これからの人生には二つの状況があると考えてください。
一つは、あなたから力を吸い取っていく事態、そしてもう一つは、あなたにエネギーを与えてくれるという事態です。
あなたが向かい風のなかにいるときは、楽しくない人や足を引っ張る人といっしょにいるのではなく、あなたが前に進んでいけるようサポートしてくれる人を見つけましょう。
幸いにも、教師という仕事はさまざまなことを自分で決められます。
あなたに、仕事への意欲と喜びを生み出してくれるような教材や活動を見つけてください。
マーティン先生は、古いオルガンが教室にあったので、毎日、子どもたちにオルガンを弾いて、子どもたちは声を張り上げて歌っていました。
教師と子どもが、歌と音楽の喜びを共有していたのです。学校での一日を歌で始めることが、彼らによいサイクルをもたらしました。
オルガンと音楽がマーティン先生にとって、一番強さが得られる源泉だったのです。そこから得たエネルギーをもとに、彼は子どものための実践に力を注ぐことができたのです。
さあ、あなたにとっての力の源泉は何ですか?
新しい考えを学校に持ち込みたいと思ったら、新任教師であるあなた自身が周りの教師にどのようにみられているか、ということについて考えをめぐらせる必要が出てきます。
残念な例を紹介します。
新任教師であるフィンは学校に革命を起こし、おばさん先生たちに決して指図されまいと意気込んでいました。
まるで自宅の居間にいるように職員室のソファにどっかりと座り込み、新聞を広げて読み始めます。彼が顔を上げるのは、直接話しかけられたときだけです。
一週間たったある日「隣の学校の協働のほうがここよりも成功している」と、彼は声高に主張しました。ところが、どの教師たちも彼の主張にコメントしなかったのです。
彼のこれまでの態度が原因だということはわかりますよね。あなたが同僚にどのようにおもわれているかの大部分は、あなた自身の行動によって決まるのです。
あなたは、常に仕事の終わりの時間を気にしたり、やらなければならないことだけをやろうとしていませんか?
もし、少しでもそれ以上のことをやる意欲を見せることができれば、あなたはすぐにさまざまな実りの多い活動に参加できるようになりますよ。
それらは、あなたにさらなる意欲と喜びを与えてくれるでしょう。
では、フィンはどうしたらよかったのでしょうか。
もし、彼が職員室での日常に興味を持ち、もう少し謙虚さを示していたならば、彼はもっと好意的に受け入れられていたでしょう。
経験を積み重ねてきた人を尊重することが、目的を達成する秘訣です。
また、きちんと規則をわきまえていることも重要となります。
もし、フィンがクラスを遠足に連れて行くときのルールを知らなかったら、彼だけでなく学校全体が問題を抱えることになります。
そう、フィンには、まだまだ学ぶことがたくさんあります。子どもが全員無事に帰ってこられたら、その幸運に感謝しなければなりませんね。
教師という仕事には成熟さが求められます。あなたに与えられている責任を認識してください。
もちろん、それは経験によってわかってくる面もあります。
もし、生徒にどこまで許してよいのかがわからなくなったときは、自分の子どもだったらどうなのかということを考えてみてください。これは、とてもよい行動方針となります。
(アストリ・ハウクランド・アンドレセン:1952年生まれ ノルウェーの小学校副校長)
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