子どもに嫌われる教師と好かれる教師は、ここが違う
1 子どもに嫌われる教師
(1)子どもが言う、嫌いな先生は、教師の性格面と、不用意な言動がある。
どんな先生を嫌うのか、子どもの声は率直である。
・声が小さく、ボソボソ言うので、よくわからない。
・大声ですぐにどなりつける。
・ネチネチといつまでも小言を言い続ける。
・笑い顔を少しも見せない。いつも暗い感じ。
・公平ではなく、えこひきが多い。
・すぐに怒る。
・先生の言うとおりにやれと強制して、少しでも違っていると、やり直しをさせる。
・気分屋で、態度がしょっちゅう変わる。
・私たち子どもの気持ちを少しも聞こうとしない。
・いじめや悪いことがあっても、見ぬふりをして、かくれてしまう。
・悪いことがあると、全体責任だとして、班全員に罰を与える。
(2)自分をかくす
嫌いな先生の一つに、先生が自分のことをかくすことがあげられる。自分のことをまったく語らない教師は嫌われる。
子どもたちは好きな先生のことについては、家族や生い立ち、趣味や長所などをよく知っている。
「先生は、みんなと同じ三年生のとき、いたずらっ子でね、木に登ったりしてよく叱られたよ」こんな話を聞いているときの子どもたちの目は輝いている。
(3)不快感を与える容姿や言葉づかい
容姿とは、ただの外見だけではない。子どもたちに嫌われる先生のなかにつぎのようなことがある。
・いつもゴテゴテ化粧している。
・服のセンスが悪い。
・授業中、ツンとすまして、お高くとまっている。
・乱暴な言葉を平気で使う、女の先生が男みたいな言い方で押さえようとしている。
・口からいやなニオイがする。
心のもちようが風貌にあらわれたり、体にみなぎる活力が魅力につながったりする。暗い感じや青成りびょうたんでは、子どもは教師を敬遠する。
明るくさわやかな笑顔、さっぱりした服装、背筋を伸ばした姿勢、快い言葉づかい、心のこもった聞き方、身軽な行動などをつねに心がけていくことである。
(4)完全主義者
すべてにきびしく、完全でないと満足しない教師がいる。
授業の研究も、生徒指導もすきをみせない。子どもたちへの要求も厳しい。
保護者のなかにも良い先生にあたったと喜んでいる者が多い。
しかし、子どもたちは、決してそうは思っていない。こういう教師は、どうしても好きになれないのである。
毎日、息がつまってくる。教師から欠点を見いだせないだけに、うっぷんがたまっていく。
あるとき、爆発する。完全主義者の欠点は、ゆとり、すなわち遊び心がなく、他人からの批判や忠告を受けつけないことである。
教師自身が、遊び心をもつことの意味を理解したり、自らを省みることがない限り、嫌いな先生のレッテルを張りつづけられるのである。
2 好かれる教師
(1)教え方がうまい
教え方がうまい教師は、よく分かる授業をする。
「先生、もう終わりなの」と、子どもの心を燃やし、時間がまたたく間にすぎてしまったと感じる体験を子どもに味わせることが大切なのである。
子どもの心理をつかみ対応することがポイントになる。
・分からない原因を探る・・・・意欲不足か、新しい体験のためか、抵抗が大きい、なぜつまずくのか。
・分かりたい気持ちを大切にする・・・・探求心、求知心を刺激する、内発的動機付けを図る。
・わかる喜びを体験させる・・・・喜びを共感し認める、満足感・成就感・充実感を味わわせる。
(2)明るくて、ユーモアがある
いつも、にこにこしている先生、面白い先生、愉快な先生が小学生に慕われる。
ほがらかな先生、明朗な先生、親しみやすい先生が中学生に人気がある。
教室内の笑いは、教師のユーモアや、しゃれによって生まれる。
ユーモアは、ほのぼのとした雰囲気を生み出し、子どもと教師の関係を和らげる潤滑剤の役割を果たす。授業に活力を与える。
教師の性格が明るく快活でユーモアに富んでいると、その人格が、授業や学級の雰囲気ににじみでるのである。
授業や教室での教師の明るい表情、はつらつとした態度は、子どもの目にはカッコよく映り、さわやかさを与え、好感をもって受け入れられる。
笑いは授業の緊張をほぐし、気分を変える。「あの先生の授業は面白い」と人気があるのは、先生の話術、ユーモアのセンスにある。
(3)やる気をおこす
子どもがやる気をおこす授業の条件は、
・子どもの人間関係を育てる・・・・学級で友だちに受け入れられ存在感を得られ、自己表現・成長欲求を満たせるようにする。
・興味・関心を大切にする・・・・教材が子どもの興味・関心を誘発するものを。
・やりぬく力を育てる・・・・基本的には、努力への承認をくり返し味わわせ、子どもに、努力すれば達成できるという成就感をもたせることが大切である。
・学び方を身につける
子どもが自ら進んで学ぶためには、授業における課題意識を大切にする、学習の仕方を身につけさせる授業を工夫する。
・自己評価の力を高める
(4)よさを認めて励ます
子どもに好かれる先生は、叱るときは厳しい。だが、ひとあじ違うところは、ほめ言葉、認める言葉が必ずあることだ。
「なぜ」「どうして?」という知的好奇心をつくり出し、育てる授業を工夫している。
一緒に遊び、学び、働くなどして、よさの発見する場を広げる努力をすることである。
一人ひとりの顔が違うように、それぞれの性格のよさを認めることが大切である。
(5)真剣に教え、導く
教師の日々の生き方が子どもに大きな影響を及ぼす。
教育は、教師と子どもとの人間的なふれあいを通して行われるものである。
毎日の授業における教師の言動から、子どもは人生観や生き方を学んでいる。
(下村 哲夫:1935年-2004年、高知県生まれ、香川大学助教授、東京教育大学助教授、筑波大学教授、名誉教授、早稲田大学教授在職中に死去。専門は教育法制学)
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