「デモシカ先生」だったときに仮説実験授業に出合い、子どもも教師も変わった
「デモシカ先生」という言葉がありますが、西川浩司先生は本当にデモシカ先生だったなあと思った。
4時半に帰って、繁華街をブラブラしていました。
転勤した学校で「おまえも年だから、少し研究したらどうや」と言われて、生活指導の研究会に参加した。
行けども行けども頂上がない。うまくいかない。
「それほどうまくいかないのなら、教科でやってみたら」と言ってくれました。
それで理科をかなり本や雑誌を読んで必死にやったが、今までいいかげんにやってきた授業とあまり違わなかった。
そして、仮説実験授業に出合うわけです。
仮説実験授業では、原則として「問題」-「予想」-「討論」-「実験」の4段階からなっています。
問題の答は実験がきめるので、教師がきめるのではないという思想がこめられているのです。
普通だったら、授業の終わりに「この実験からこういうことがわかりました」と、教師が言って、子どもはそれを聞いて覚える、という感じになるわけです。
ところが仮説実験授業では、実験の結果から何がわかったかを長々としゃべってはいけません。
だから、今まで私が一生懸命やってきたことは全部ペケなんです。
実験の結果からいろいろしゃべるのは「押しつけ」だと意識するようになった。
予想をたてて、しっかり討論しておけば、実験の結果、何がわかったかということは、ほとんど言わなくても明らかなのです。
予想や討論をろくにせずに実験をやって、そのあとで、この実験から何がわかったか、ということばかりに力をいれるのは解釈主義であり、教師の権威でもって結論をおしつけることにほかなりません。
板倉先生の講演で、「ものとその重さ」の授業書をいただきました。
これならできそうだと思い5年生にその授業を始めたのです。
全然勉強しない子どもがいました。やっと教室に入れても本もださないんです。
ところが「ものとその重さ」を始めたら、「ぼくするで」と言うんです。
「ものとその重さ」の授業が終わって、子どもたちに感想文を書いてもらったら「ものすごくよかった」ということを書いてくれました。
窓ぎわで遊んでいた子も、すごく勉強するようになりましたし、意見も言うようになりました。
一つのことができれば、子どもはすごく変わってくるものなんですね。
子どもはもちろん、教師も本当に変わるんです。それを発見してビックリしました。
(西川浩司:公立小学校で最初に仮説実験授業を実践。「授業書の内容、ねらいをどのように子どもたちに伝えるか」ということを追求し、実践的に示した)
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