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子どもに寄り添う授業で心と学力を育てるには、どのようにすればよいか

 子どもたちの自己肯定感を高め、悩みを減らすには、優しさがある人間関係をつくり、居心地のよい学級を築き上げることが必要です。
 優しい人間関係を基盤にすると、自己肯定感は向上してきます。
 子どもの言動が優しくなり、豊かな心の芽が出てきなと感じたら、すぐステップアップします。
 授業で「できた」「わかった」という体験を多く積ませるようにします。
 毎日の授業を通して、子どもの成長を見守り、見届けたい。
 そんな思いを持ちながら私は、今日も子どもたちと授業をつくっています。
 子どもたちの悩みを解決しながら、豊かな心、学力を向上させるのも、その大半は授業を通して行うべきだと考えています。
 悩みを抱かえたり、憂うつな気分で一日を過ごしている子がいたとき、私たちは一人ひとりの子どもの思いに真摯に向き合い、考えを十分に認めるような温かい授業をする必要があります。
 そのためには、授業中に子どもの不安を取り除き、安心して学習できる雰囲気づくりをしなくてはいけません。
 安心して学習できる雰囲気は、子どもを学習に集中させていきます。それも自然に。
 授業中に間違いやできなかったことを指摘された子どもの大多数が、その教科を嫌いなる恐れがあります。
 そうならないために「子どもに寄り添う授業」をしなくてはいけないのです。
 できない子の気持ちに学級全員が寄り添うのと同時に、共感的で温かい授業づくりを心掛けなければなりません。
 すると、授業は劇的に変化します。
 まず、間違いを恐れる子どもが激減し、意見がたくさん出されるようになります。
 その後、学習に対する苦手意識をもつ子どもが減り始め、授業中に多様な考えが出されるようになります。
 そして、それぞれについて深く考えていくうちに自然と学力が向上します。
「子どもに寄り添う授業」をすることで「豊かな心と」共に「確かな学力」も育まれていくのです。
 教師の誰でもすぐにできて、授業で一番大切なことは「明るい表情」と「笑顔」です。
「明るい表情」は子どもを元気にします。「笑顔」は子どもを安心させます。これが重要なポイントです。
 教師にこの態度があれば、子どもが間違っても、子どもはリラックスして授業を受けるようになります。
「この先生は間違った意見を言っても笑顔で認めてくれたぞ」とか「先生はいつも明るい表情なので、意見が言いやすいな」と感じさせるだけでよいのです。
 子どもが感じた気持ちは、知らず知らずのうちに教室中に広がっていき、やがて子どもたちは、間違いを恐れずに意見を言い始めるようになります。
 自分の意見が認められることは、子どもたちの達成感や成就感につながり、次の学習が楽しみになるのです。
 これはまさに、プラスの連鎖です。教師の笑顔や明るい表情でプラスの連鎖ができあがる。
 そして、この連鎖は、一旦できあがるとなかなか崩れない。
 話した意見が認められることで自信がつき、また意見を言いたくて仕方なくなるという連鎖が生まれ続けるのです。
 いつのまにか、学習を進める際の大きな障害(間違えることで学習が嫌いになる)も消えてしまいます。
 教師が明るい雰囲気づくりを心がけると、子どもは授業を楽しむようになり、自己肯定感も高くなるということです。
 そして、プラスの連鎖は、子どもたちを知らず知らずのうちに高め、真の力を引き出すようになるのです。
 子どもたちを「間違う」ことの恐怖で委縮させる原因の一つは、教師としての使命感です。
 私たちは教師として「子どもたちを正しい方向へ導かなくてはいけない」という使命感を持っています。
 これは教師として絶対になくしてはいけない使命感です。
 しかし、ときにこの使命感が、子どもを傷つけてしまいます。
「正しい方向へ・・・・・」という使命感が強ければ強いほど、子どもの間違いに対して厳しい態度をとってしまいがちになるからです。
 算数の授業で「7+4=10」と答えた子に対して「それは違うよ」と言わざるを得ません。
 しかし、使命感から間違いを強い口調で指摘してはいませんか。
 悪気があっての言葉ではないはずです。しかし、結果として、子どもの心を傷つける可能性があることを、あなたは知っているはずです。
 間違いを指摘する際の言葉や態度には十分な配慮を心がけたいものです。
 私たち教師の使命感が強ければ強いほど、子どもが学習を進める際のハードル(乗りこえなければ大きな困難)になるかもしれないということを、忘れてはいけません。
 それでは、子どもたちが間違いを恐れずに、自分の意見を自由に言い合える授業をつくるには、どうしたらよいのでしょうか。
 答えは簡単です。子どもの「間違うかもしれない」という緊張感を緩和し、安心して授業に望めるようにすればよいのです。
 そのためには、私たち教師が「きっと、ここがよく理解できていないんだな」「これは難しいだろうな」と、子どもの気持ちをくみ取る態度になることが必要なのです。
 つまり、子どもたちを正しい方向へ導かなければいけないという使命感よりも「子どもに寄り添うことを第一義的な使命」と方向転換すればよいのです。
(熊谷 純:1967年青森県生まれ 青森県公立北小学校教師。基幹学力研究会幹事、算数授業ICT研究会幹事、全国算数授業研究会幹事)

 

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