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優れた理科授業にするには、どのようにすればよいか

 優れた理科の授業は「ネタ」「授業の組み立て」「授業技術」が優れている。
 授業を料理にたとえると、おいしい料理には新鮮なネタが必要だ。
 ネタをどう料理するかレシピ(組み立て)がいる。
 レシピを実行できるだけの腕(技術)がいる。
 授業の技術には、発問・指示・板書などがある。料理の腕がなければ、ネタをだいなしにすることもある。
 理科授業の基本的な進め方は、疑問を持たせ、仮説を立てさせる。実験・観察で確かめ、結果をまとめさせる。
 子どもたちは、自分で問題を解決することで、科学的な知識や技能を身につけていくことになる。
 授業の導入で問題意識をもたせるために、疑問を生じさせることが大切だ。
 例えば6月の三日月の形を描かせると、右左どちらに曲がっているか意見が分かれ、疑問が生じ調べてみたいという思いがわいてくる。
「月はどの順番で満ちていきますか」と、左右の三日月から満月までと新月の絵から並べさせる。一番正しいと思える順を自分で決めさせることが仮説となる。
 実際に月の満ちる順番を2日おきぐらいに観察させる。その観察結果を発表させる。結果から言えることが結論である。
 このように子どもたちは疑問から問題意識をもち、仮説を立て、実験・観察で検証し、結果を結論としてまとめるという活動が理科授業の基本的な進め方になる。
 授業づくりの手順は、まず、教えたい知識と技能をはっきりさせる。学習指導要領に載っている内容の部分を抜き出せばよいのでたやすい。
 次に単元の計画を次の手順で考える。
 各社の教科書を読んで、どう教えることになっているか展開をだいたいつかむ。読んではっきりさせたいところが出てくれば、参考書や専門書で調べる。
 資料はインターネットでキーワード検索する。たくさんの本が掲載されているのでリストアップしておく。
 大きな書店でそれらの本を斜め読みする。特に重要だと思える本を購入する。インターネット情報でよいと思われるものは印刷する。
 購入した本や集めた資料を読んで、子どもが驚くだろうなという情報をメモしていく。
 それら情報の内から骨格になるものは何かを考える。教えたい内容をすべて列挙していく。
 子どもの実態を知るために、子どもに聞いたり、アンケートをとる。
 この段階で、実践例を調べる。すこしでも実践例を超える実践をしていくためである。
 次に大ざっぱでよいが、だいたいの展開を考える。展開が決まったら教材を考える。できるだけインパクトのあるネタがよいし、実物を用意することが大切である。
 つぎに、1時間ごとの授業案を考えていく。発問・指示・説明を考えることが大切である。
 授業の組み立てを考えるとき、授業は二転三転させて変化をつけたほうが、子どもたちが熱中し盛り上がるので、相矛盾する情報を紹介する。
 矛盾した情報を示すと子どもたちは、なぜだろうと考え授業が知的に展開するようになる。
 そして教師が授業で実際に発問しようとする発問言葉をノートにメモしていく。
 書いたら口に出して言ってみる。くどいと感じたらできるだけ言葉を短くしていく。
 発問・指示・説明を何度も修正していくと、よい授業になっていく。
 最後に授業に使えそうな映像資料や実験をインターネットで探す。実験は大切なので、実験ができない場合は実物を見せて観察させてもよい。
 読み直してダメなところは修正すればよい。
 授業が終わったら必ず授業の記録をとるようにするとよい。理由は、今後の授業改善に生かせるからである。
 教師の発問・指示・説明と子どもの反応を必ず記録するようにしている。教師が言った通りの言葉を思い出して書いていく。
 言い方が異なると子どもの反応が違ってくるので、できるだけ正確に記録するため、録音することが多い。
 子どものつぶやき・表情・発言内容も記録しておく。
 子どものノートをみることで、子どもの理解の程度・疑問・思考内容を知ることができるので写真をとっておく。
 板書も写真に収めておく。写真に収めておけば記録するのに時間がかからない。
 テストが終わったら、子どもの理解度を調べるようにする。
 一人でも勘違いしていたら、その勘違いはなぜ起きたのか、それを防ぐためにどんな授業展開がありえたか、などを考えるようにしている。
 授業の記録は、再び同じ内容の授業を今後するとき、授業記録と反省の記録が生かされることになる。
(大前暁政:1977年岡山県生まれ、岡山県公立小学校教師を経て京都文教大学准教授。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」に入賞)

 

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