« どんなときにも子どもたちが行儀よくする学級つくりとは | トップページ | 子どもが授業で忘れ物をしたとき、どのように対応すればよいでしょうか »

教師が教えたいことは、子どもたちにあえて教えずに、子どもたちに考えさせるとよい

 教材研究をしていて教師が面白いと思った部分を、授業中、子どもたちに熱く語っても、子どもたちは引いてしまいます。
 面白い部分に子どもたちをうまく引き込むためにはどうすればよいのでしょうか。
 教師が面白いと思ったことや教師が意欲的に調べたことは、子どもたちに全部教えたくります。
 しかし、教師が一方的に説明しようとすると、子どもたちは受け身になってしまうので、考えなかったり、気づきが起こらなかったりします。
 したがって、子どもたち自身で面白い部分をじっくりと味わえるよう、自分たちで気づかせるような工夫をしてみてはいかがでしょうか。
 教師が、子どもたちに教えたいと思ったりした面白い部分の指導のポイントは、あえて、直接、子どもたちに教えないというのがコツです。
 子どもたち自身で考えてみるプロセスを経由させてみればよいのです。
 まずは、発問を授業に取り入れることから始めてみましょう。成功しても失敗してもまずはやってみることが大切です。
 一番簡単なことは、ふだんの授業での問いで、問いを子どもたちに投げかけた後「どう思う?」と言って、少し間を取る。
 そして、クラス全体を見渡す。指名はしなくても構いません。その間の取り方に教師自身が慣れることです。
 成功した場合は、どのようにすれば良いのか実感でき、自身の力になっていきます。
 また、うまくいかない場合は、次にどうすればよいのか、何を工夫することができるのか、きっかけをつかむことができます。
 それができるようになってきたら、何か言いたそうなそぶりを見せている子どもに「どう思う?」と振ってみましょう。
 もし、その子どもが答えられたら、しっかりと教師は反応し、授業の流れに戻ります。
 たとえ答えてくれなくても、次第に発言できる雰囲気ができれば良しと考えましょう。
 このように、授業で「発問する」→「間を取る」ということに慣れてくれば「この先生は、何か尋ねてくるな」と、子どもたちは教師の話にしっかりと集中するようになり、子どもたちも考えるコツのようなものがつかめてきます。
 そして、教師の方も、話し方のコツのようなものがつかめてくるはずです。
 発問は子どもたちを主体的にさせる働きがあり、次のような効果が期待できます。
(1)教材との主体的な関わりをもたせる
 教師の発問によって「いったい何?」「どういうこと?」と子どもたちは教材に引き込まれます。
 教師が一方的に教えこむのではなく、教材の本質を子どもたちに気づかせるように工夫すれば、自ずと教材に集中するようになります。
(2)授業内で共同的な学びを作り出す
 1つの発問が、クラスの中のコミュニケーションを作り出します。
 例えば、英語の授業で子どもたちに写真(黒色の背景に白い煙のようなものが写っている)を見せて
「What is something white in the picture?」
 という問いに対して、様々な意見が出る中で、焼き畑ではないかという意見に、クラスの子どもたちが感心します。
 他の子どもたちがどのように考えたかを共有することで、クラス全員の理解が深まり何度も教材に向き合うことになります。
(3)教師と子どもたちとのコミュニケーションを作り出す
 英語による発問をきっかけに、子どもたちが英語で答えることがあります。
 それをうまく拾って子どもたちと英語でコミュニケーションすることができます。
 ふだん発言の少ない子どもたちが思いもよらず授業に貢献することがあるかもしれません。
 教師は、その子どもの発言を通して子どもをほめることができます。
(4)教材が扱う多様なトピックについて子どもに考えさせる
 子どもたちの生活や経験は狭く、日頃考える内容も限られているものです。
 しかし、英文を通して、ふだんは考えることのないような環境問題や平和問題などを考えさせるきっかけを作り出します。
(5)自分自身の考え・意見・感情に気づかせる
 問いに対する答えを探すなかで、子どもは「自分はどのように感じ、どう考えるか?」と、自分自身のことを考えることになります。
 例えば、夜の地球の写真を見せここから何を感じるかと問えば、資源を大量消費している日本に住む、自分の問題として環境問題を考え始めることになります。
 このように教師の発問は、子どもたちをとりまくものとの関わりを生み出すものとなり、豊かな授業づくりをする上で、大きな教育的な役割を持っていることがわかります。
(田中 武夫:山梨大学教授、田中 知聡:公立中学・高校教師)

 

|

« どんなときにも子どもたちが行儀よくする学級つくりとは | トップページ | 子どもが授業で忘れ物をしたとき、どのように対応すればよいでしょうか »

授業の技術」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。