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大人が本気を出したら子どもが変わり、こちらを向く

 教育というのは、火を点けることです。
 みなさんは、教師が子どもに火を点けることと、思っているでしょう。
 そうではなく、子どもが教師に教育の火を点けることなのです。
 子どもたちからの、メッセージを本当に教師が受けとめて、教師が「これまでの自分たちの実践を見直す」という実践の火を点ける、というのが私の持論であります。
 私の尊敬する山口良治先生は「子どもたちの問題行動は愛を求めるシグナルだ」と、おっしゃっている。
 そのとおりですね。私はこれをたくさんの事例で見てまいりました。ある事例を話してみましょう。
 ある不登校の子どもを母親がなんとか登校させたいと、子どもが欲しいと要求したものをみんな買ってやった。
「マンション買ってくれたら、学校へ行く」と子どもが言ったときも、何と本当に親がマンションを買ったのです。それでも、また学校に来なくなりました。
 それで、親ともめた時、子どもがマッチに火をつけて親に「おれの言うことを聞かなんだら、家に火を点けてやる」「こんな育て方しやがって!」と、子どもが言った。
 母親はそこで本気になった。
 その母親は素晴らしかった。
「あんたは私が腹を痛めて生んだ子や!。あんたと死ねるなら本望や!。さあさっさと火を点けなさい!」と母親が叫んだ。
 子どもは手をぶるぶる震わせながら、初めて本当の親の愛を知った。
 そして、火を消して、ワァと泣き出した。
 それから三日後、子どもは学校に来だした。
 このようにね、子どもがどう進んでいいか分からない、曖昧模糊としているところに、バチッと切り込んでやったりすると、パッと方向性が見えてくる。
 ここで子どもの姿勢が変わるんです。
 親の姿勢というものは、ものすごく大事です。教師も一緒なのです。
 われわれ大人が本気を出したらどれくらい子どもが変わるか。
 大人が子どもたちに全力を懸けていった時、こちらを向くのです。私は絶対いけると確信しています。
 熱血教師はいらない?。私は違うと思うね。
 教師が体を張って子どもたちの世界に飛び込んだ時には、子どもたちから「勇気をもらう」という大変なお土産をくれます。
 私は子どもたちの世界に飛び込む時に、子どもたちに、「見どころがある。素晴らしい。きっと伸びる」と、確信を持って愛と敬愛を放り込みます。
 イエローハット相談役の鍵山秀三郎さんもつぎのように言われています。
「心温かいきは万能である。感謝に勝る能力なし。感謝の心がまことの働きを生み出す」
 見事な切り口です。
「不利なものを切り捨てるなら、知恵も才覚もいらない。冷酷な気持ちさえあればよい」
 とも言っておられる。
 私はどこの学校へ行っても子どもたちに「おはようございます。おはようございます」と声を掛けています。
 十分躾けられていない子どもに対して、学校の先生が特にそうですけど、「おはよう」と子どもたちに言っている限り、ずっと子どもたちから「おはようございます」とは返って来ませんからね。
「おはようございます」と、常に言い続けるのはとても大事なことです。
 子どもたちに「おはよう。おはよう。お前、ちゃんとおはようございますと言わんか」なんて言っていると、絶対あいさつしませんよ。
 あいさつというのは、こちらから丁寧にかつ、さわやかに「おはようございます」と言って、やり続けることです。
 さわやかにというところがミソです。
 うちの今の学校も、行った時には、ほとんどの子はまったくあいさつしませんでした。
 けれども、それが変わってくるのです。
 とにかくずっと言い続けますと、変わってくる。
「心温かきは万能」なのです。
 万能なのですね。万能。
 すごいことだと思います。絶対間違いない。私は確信をしています。
(中村 諭:1948年-2003年、兵庫県生まれ、大阪府・兵庫県公立小中学校教師、野球部監督、兵庫県指導主事、兵庫県公立中学校校長を歴任した。ドラマ金八先生のシナリオ一部として採用・放映される。読売教育賞児童生徒指導部門優秀賞受賞)

 

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