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教師の過失による責任はどこまで?

 過失とは、注意義務の違反のことをいう。
 犯罪に対する認識が欠如し、不注意によって犯罪的結果を生じさせることである。
 注意義務は結果の予見可能性と結果の回避可能性を前提としている。
 法律は不可能を要求することはないから、履行できる可能性がない場合は、義務も発生しないのである。
 教職員が業務上過失致死傷罪に問われた事例をいくつかみてみる。
(1)プールの事故
 宮城県丸森町の小学校のプールで、6年生の男子が排水口に足を吸い込まれて水死した事故で、校長ら教員3名が業務上過失致死傷罪に問われたが、仙台地方検察庁はこれら教員を平成7年に起訴猶予処分とした。
 理由は、プールのふたの固定を求めた文部省通達を守らない過失があったが、何年も事故が起こらなかったため事故の予見が難しかった、と説明したと伝えられている。
 しかし、この種の事故は決して少なくない。充分防止可能であったと思われ、今後の貴重な教訓としなければならない。
(2)校門の事故
 兵庫県立高校において、朝の登校時に門限とともに生活指導担当教員が校門を閉めた際に、生徒が校門に殺到し、その中の一人の生徒が門扉に頭部を挟まれて死亡した。
 教員(事件後に懲戒免職)は傷害致死罪で告訴されたが、担当検察官は業務上過失致死傷罪で教員を起訴した。
 裁判では教員は無罪を主張したが、裁判所は事故の予見可能性を肯定し、禁錮1年、執行猶予2年の有罪判決を下した。
 この事案では、校門を閉めた教員のみが起訴されたが、事件のあった学校では門限での校門閉鎖が毎日行われていたとのことであるから、管理職を含む他の教員もその責任を問われる可能性が十分存在したものと思われる。
 なお、教職員が業務上過失致死傷罪で有罪となった場合でも、特に傷害を負わせたにとどまる場合は、罰金刑ですむ可能性も高く、死亡に至った場合で懲役が言い渡される場合でも執行猶予が付される可能性は高い。
 過失の注意義務の内容が結果の予見義務から始まることから、事故防止の準備が極めて重要であることはいうまでもない。
 準備不足からの事故発生では業務上過失致死傷罪の回避は困難となる。
(関口 博・菊池幸夫:弁護士)

 

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